子どもの日ザクカイ♀️

朝起きて

目が覚めて


ザクロはとんでもないことになっていた。


ゲノムタワーにザクロの悲鳴が響きわたらなかったのは不幸中の幸いで。
「…なっ、なっ、なぁ…?!」
「よぉ、よーやっとお目覚めかい?忍霧?」
にっこりと笑う彼女、鬼ヶ崎カイコクが自室にいるのもザクロからすれば驚くポイントであったりするけれど、そこは置いといて…別のことで混乱しきった頭をフル回転させる。
どうせ、彼女が原因だろうと【小さくなった】手をカイコクの胸倉にグッと伸ばした。
「…きさっまっ、どういう、…!」
ギッ!と睨んだつもりだが思った表情にならなかったらしい。
目の前のカイコクの表情が緩んだ。
何となく腹が立つものの口がうまく回らない。
「ずーいぶんとちっちゃくなったなぁ?ザクロ【くん】?」
にやにやと彼女が笑った。
そう、ザクロは今幼児化していたのである。
ユズが戯れで作ったクスリか、はたまたパカの仕業か。
何にせよ随分と縮んでしまった原因はどうやら目の前の彼女が関わっているのだろう。
どうやら前にゲームで幼児化させられたことが尾を引いているらしい。
存外根に持つタイプだったようだ。
あれは別にザクロがやったわけではないのだけれど。
「ふふっ、存外可愛いじゃねぇか、忍霧」
「…うれしくないんだが」
「そういう所も可愛い可愛い」
「おにがさきっ!」
嬉しそうに撫で回してくる彼女に怒鳴る。
「抱っこしてやろうか?ほれ」
「やめっ…やめろ!おろせっ!!」
「いやでぇ。たくさん遊んでやるからな♡」
突然の抱っこに嫌がり、宙にぶら下がった足をばたつかせるもカイコクはにこにこしたままだった。
意外にも母性が芽生えているようで…単純に意地悪したいという当初の目的は吹き飛んだらしい…カイコクがぎゅうっと抱きしめてくる。
豊満な胸が顔に当たった。
「………!!!」
「なんでぇ、いきなり…ああ」
思わず力いっぱい押しのければ不思議な顔をしたが…すぐに分かったのだろう、にやりと笑う。
「…ムッツリすけべ」
「んな!!」
悪い顔のカイコクに言葉を失っていたが、ならば、と逆に顔をおしつけた。
「へ?うわっ?!何すんでぇ、忍霧!!」
力を急に入れたからかバランスを崩し、ベッドに倒れ込んだカイコクがムッとした顔で文句を言う。
「んむ?!!」
だが、ザクロは無言で小さな唇をカイコクのそれに押し付けた。



調子に乗っている彼女には分からせなければいけない。

小さいからって油断していると痛い目に遭うということを!

(反省してます、と言ったのは果たしてどちら?)

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