司冬ワンライ・相談/バーチャルシンガー

「なぁ、レン。ちょっと相談があるのだが……」
その声に、ぴょんと短いポニーテールを揺らしたのはバーチャルシンガーの鏡音レンだ。
「…ボク?KAITOじゃなくて??」
不思議そうに首を傾げるレンに司は、ああ!と大きく頷いた。
バーチャルシンガーであるKAITOはこのセカイの座長である。
とても頼りになるので何かあると相談に行っていたのだが…。
今回はそういう訳には行かなかった。
なぜなら。
「実は、今度恋人とデートに行くのだが、どういう場所が良いか迷ってしまってな。KAITOはとても頼りになるが、恋愛関係はてんで疎いだろう?」
「ああ。それでボク?」
そう言う司にレンは笑う。
以前一度だけKAITOに聞いてみたことがあるが目的とは違った答えが返ってきたのだ。
それもあって、KAITOには恋愛関係の話はしないようにしてきたのである。
「レンはKAITOと付き合いが長いだろう。オレの恋人もKAITOと性格がよく似ていてな。良ければ参考にさせてほしいのだが…」
「ボクは構わないよ!司くんのお役に立てるなら嬉しいな」
司のそれににこりとレンが笑った。
「KAITOに似てるってことだけど…。実際にはどんな子なの?」
「そうだな…」
レンに聞かれ、司はほんの少し上を向く。
「とても真面目でな、普段はそれが長所でもあるんだが、たまにズレている時があってなぁ。それがとても可愛らしい。それと冬弥…ああ、オレの恋人なんだが、ストリート音楽をやっていてな、とても真剣に打ち込んでいる。それが好きな所でもあるな。後はもちろん歌が上手いところも、オレのショーを見て笑ってくれるところも……」
「わぁ、待って待って、司くん!」
「…む?」
つらつらと話していた司をレンが止めた。
「相談したかったんじゃないの?その、冬弥くん?とのデートのこと」
「ああ、そうだ。だが」
慌てるレンに司は笑う。
だって、これは。
相談に必要な…情報でしかないのだから!

(ちょっと私情が混じっているのはご愛嬌)


「冬弥のことを知らないと、プランは立てられないだろう?」



「司くん、冬弥くんって子のこと、大好きなんだねー!」
「…ねぇ、あれ止めなくて良いの?」
「まあ、いいんじゃないかな?あれはあれで幸せそうだし」

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