とうかのえん

「…夏だなぁ」
「…夏だねぇ」
長谷部のそれにくすくすと笑いながら光忠がからん、と、氷の入った麦茶を差し出してくる。
礼を言って受取り、一気に煽った。
遠くの空で花火が上がる。
光忠の、品の良い軽装の、裾が夜風にはためいた。
「…お前の軽装、良いな」
「本当かい?ありがとう。長谷部くんの軽装も格好良いよ」
素直な長谷部の言葉に光忠がにこりと笑う。
どちらともなく口を寄せた。
花火の音だけが響く、世界。
僅かに離れ、ふは、と笑い合う。

夏だなぁ、と…そう、思った。

愛し刀と夕涼み



夏といえば水着か浴衣かどちらだと思う?

そんなことを聞かれて長谷部はきょとんとしてしまった。
「は…?」
「だーから、夏といえば水着か浴衣か、だよ、長谷部くん!」
ぴっと人差し指を上げるのは燭台切光忠である。
ちなみにこの光忠、他と大きく違うのは女体であった。
「…選べば見せてくれるのか?」
「…?…見たいのかい?」
首を傾げる光忠の、大きな胸がたゆんと揺れる。
そういうところだぞ、なんて思いながら長谷部は「そうだなぁ」と上を向いた。

「へし切は年がら年中ホラーだよね」とはその後の惨状を見た誰かの言葉である。

水着でも浴衣でもお前を食いたい

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