セカイの衣装バグが起こりまして バニー編

セカイにはバグがある…らしい。
想いの持ち主の体調不良だったり、音楽機器の不調だったり、その辺は曖昧だ。
だが、唐突に、意図せずに起こる。
それは、ほら、今回だって。


「…だーかーらー……!!」
彰人はイラッとした声を出す。
何度かこの現象には遭遇している。
だから少しは慣れたと…思っていたのに。
「なんだよ、これ!」
ビシッと指をさす。
それに困った顔をするのはバーチャルシンガーのレンだ。
「えー、それオレに言われてもなぁ」
「他に誰に言えって…?!」
「まあまあ、彰人くん」
ギリギリと睨むと横からのほほんとカイトが声をかけてくる。
笑う彼の頭にはうさぎの耳が揺れていた。
…そう、うさ耳。
もちろん彼はうさぎではない。
バーチャルシンガーなのだから当たり前だ。
それなのにうさ耳が着いている。
「気にしちゃ負けだよ?彰人くん」
「いや、アンタは気にしろよ」
「そうだぞ、彰人」
ふわふわとうさぎ耳を揺らすカイトに突っ込めば、横から相棒の声が聞こえていた。
振り向けば同じようにうさぎ耳を揺らした…彼はたれ耳だったけれど…冬弥が首を傾げていて。
「衣装バグはそんなものだから早めに慣れた方が良いとメイコさんも言っていただろう」
「それに納得するのはお前だけだよ、冬弥」
嫌そうな顔で返すと冬弥が不思議そうな顔をする。
「けど、今回はカイトと冬弥だけだったよねぇ、バグ」
「そういえばそうだな。飲んでいた珈琲が関係しているのだろうか」
「ヨモツへグイかよ」
レンに対する冬弥のそれに彰人は嫌そうな顔をした。
「あれ?彰人はうさぎも嫌いだった?」
「も、ってなんだよ、も、って」
首を傾げるレンに彰人は突っ込む。
そうしてうさ耳を揺らす2人を見ながら、レンにそっと耳打ちした。
それにレンがああ、と笑う。
「彰人ってば独占欲強めだよね」
「うっせ」
んべ、と小さく舌を出し、冬弥の肩を抱いた。
彰人?と首を傾げる冬弥のうさ耳が揺れる。

「…うさぎ冬弥なんて、他の誰にも見せたかねぇだろ」



ねぇ、知ってた?
今日は8月2日、バニーの日!!

「けどさぁ、冬弥がパンツだけにならなくて良かったよねぇ」
「…そうなったら二度とセカイには来ねぇよ」

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