類冬ワンドロ・彼岸花/スケジュール

「…もうすぐ、お彼岸ですね」
「…ああ、そうだねぇ」
いつもよりほんの少しだけ遅くなった帰り道。
冬弥がふと前を見ながら言うから、類は同じ方を向き…肯定した。
目の前には彼岸花が揺れている。
「彼岸花には転生、また逢う日までという花言葉があるそうだよ」
「…そうですか」
類のそれに冬弥が微笑んだ。
そして、スケジュール帳を取り出す。
「…では、彼岸花も買いましょう。スケジュールに入れておきます」
「ああ、頼むよ」
にこりと笑い、類はふと空を見上げた。
彼岸花を写したような紅い空。
もうすぐ、夜がやってくる。
…そうして、朝は。
「それじゃあ青柳くん、また後でね」
「はい。また後で」
道で別れ、類は夕日に背を向けた。
目の端で揺れる白い曼珠沙華に類はクツクツと笑う。
思うは君1人、なんて。
(今生分つとしてもなおのこと!)

揺れる花を見つめ、類は目を閉じたのだった。



『次のニュースです。…昨夜未明男子高校生二人の遺体が……傍には大量の彼岸花が置かれ…二人は……』

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