司冬ワンライ・手作り/一緒に

「…む」
「?どうかしましたか?先輩」
本屋からの帰り道、とある場所で立ち止まってしまった司を、冬弥が不思議そうに見る。
すまない、と答えた司は、ほら、と指をさした。
「あそこで、ハンドメイドアクセサリーのワークショップをやっているだろう」
「…本当ですね。ええと、ガラスドームネックレス…?」
看板の文字を読み上げ、首を傾げる冬弥に、司は「行ってみないか?」と誘う。
「…え?」
「こんな機会でもなければ、オリジナルアクセサリーなんて作らないだろう?」
「…そう、ですね。ではぜひ」
微笑む冬弥に、司も笑顔で頷いた。
連立って受付に行けば、優しそうなスタッフが机に案内してくれる。
「まずは、好きな色が入ったガラスドームを選んでくださいね!その後で、ビーズやメタルパーツ、ラメなどを選んでいきます。あまり入れる量が多いと液を入れた時に綺麗にならないので、見本を参考に、指定の数を守って世界に一つのネックレスを作ってください!」
てきぱきと説明され、二人してガラスドームの前で固まってしまった。
作り方としては簡単そうだが、如何せん、己のセンスが問われてしまう。
と、冬弥がレモン色のガラスドームを手に取った。
「?黄色か、珍しいな」
「…司先輩をイメージしたガラスドームを作りたいと、思いまして」
「…なるほど」
冬弥のはにかんだそれに、少し考えた司は、彼の明るい髪と似たようなそれを選ぶ。
「ではオレは冬弥をイメージしたガラスドームを作るとしよう!」
「…楽しみです」
司のそれに、くす、と冬弥が笑った。
その後も、司は濃い青を中心にバランス良くビーズを選んでいく。
メタルパーツは3つ、と言われたので雪の結晶とイニシャル、小さな星を入れた。
透明のラメをほんの少しだけ入れた後液を入れ、蓋を付ける。
接着するまで時間がかかる、というから冬弥が作るのを眺めていれば彼も終わったらしく、こちらを見て軽く微笑んだ。
「存外、何かを作るのは楽しいものだなぁ」
「…そうですね。それに…」
「?それに?」
可愛らしく微笑んだ冬弥が囁く。
それに目を見開いた司は、オレもだ!と笑ったのだった。


大好きな貴方のことを考えて、作るガラスドームのネックレス。
キラキラと輝くラメやビーズは、その笑顔によく似ている気がした。


「…先輩と一緒に、先輩のことを想いながら作る事ができて、とても、幸せな時間でした」

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