いいおっぱいの日

今日はいいおっぱいの日でございますよ、と話しかければ彼女は嫌悪感を顕にした表情を向けてくる。
「なんでェ、藪から。…セクハラかい?」
「まさか。仮にそうだったとしても素直にはいとは言わないとは思いますが」
「違いねぇな」
そういえば、とカイコクはあっさり頷いた。
ついでにパカから距離を取るのも忘れない。
「で?おっぱいがなんだって?」
「良いおっぱいの日でございます。僭越ながら鬼ヶ崎様はこの13番街の中で一番良いおっぱいをされていらっしゃる」
「嬉しくねぇんだが」
眉を顰めるカイコクに、パカは「事実にございますよ」と言った。
「大きさ、形、ハリ、どこを取っても申し分ない!実にワタクシ好みでございまして」
「てめぇの好みかよ」 
「他に何がございましょう?…視聴者投票など行ってみますか?」
「遠慮しとく」
先程までの嫌そうなそれは何処へやら、にっこりと微笑んだカイコクが、腰の刀に手をかける。
「大体、ハリなんざどうやって分かるって…」
「…それは勿論、こう、でございますよ。鬼ヶ崎様」
小さく息を吐くカイコクに手を伸ばした。
え、という顔の彼女の胸元に手が触れる…前にはたき落とされる。
「…随分お早い到着ですねぇ。…忍霧様」
彼女の前に立ちはだかり、ムッとした顔をするのはザクロだ。
彼は先程までゲームを行っていたと…思ったのだけれども。
「忍霧?!」
「何をしているんだ、貴様は!」
「俺は何かされた方なんだがねぇ…」
怒鳴るザクロに、くすくすとカイコクは笑う。
何だか嬉しそうにも見えた。
「まだ何も行っておりませんよ。…今の所は、でございますが」
「セクハラしてたくせに」 
「日常会話、と仰って頂けますか?鬼ヶ崎様」
「本人が嫌がってたらそりゃセクハラっつぅんだよ」
べ、と彼女が舌を出す。
そんなカイコクを護るようにザクロが立ちはだかった。
「鬼ヶ崎に手を出してみろ。俺は貴様を許さない」
「まだ何もしておりませんのに。…まあ、忍霧様がこちらにいらっしゃるということは最初にゲームクリアなさったのでしょう。勝者には今回褒美があると約束しましたからね。…ゲームマスターとしての勤めを果たさなければ」
睨むザクロに軽く言ったパカは二人の横を通り過ぎる。 
扉を開け、そうでした、とパチン、と指を鳴らした。
「~っ?!!て、めぇ!!」
「パカ!貴様何を…っ?!」
その瞬間、カイコクの細腰に巻かれていた帯が解け、はらりと合わせが開く。
途端に露わになる、彼女の綺麗な胸が揺れた。
「それでは、また後程」
「てっめ……待ちやがれ!!」
「鬼ヶ崎!乱れた服を直すのが先だ…うわっ?!」
「へ?…ひゃんっ?!!」
凄まじい物音の後、少し振り返れば倒れ込んだカイコクの胸に埋もれるザクロがいて。
おやおや、とパカは小さく笑う。
優勝商品はお気に召して頂けそうでございますね、と呟き、その扉を閉めた。


今日は11月8日。
良いおっぱいの日でございますよ、皆様!


余談
その日の再生数はゲーム関係なくバク上がりだったそうな。

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