司冬ワンライ/おうちデート・休日

「冬弥!今週末遊びにこないか?両親も咲希も不在でなぁ。ちょうど、お前と一緒に見たい映画がいくつかあるんだ」
「…!是非お願いします!」
嬉しそうな冬弥に司もニコリと笑う。
昔から表情変化に乏しい彼だが、最近はよく笑うようになっていた。
とても良いことだと思う。
こうしていると、彼もきちんと高校生だなぁ、などと思うのだ…自分も高校生なのはおいておくとして。
「では、土曜日と日曜日、どちらが良い?オレは土曜日にショーがあるが日曜は無くてなぁ」
「…珍しいですね。休日はかき入れ時の気もするのですが」
冬弥が小さく首を傾げる。
ああ、と笑ってみせた。
「ショースケジュールの都合だな。ステージによって休みが決まっているんだ。そうでもしないと毎日が出演日になってしまうし、次公演の練習期間も取れないだろう?」
「…なるほど。…俺の方は土曜日にイベントがあります。日曜は特に練習もなかったので…」
「?イベントの次の日なのに練習なしなのか?」
今度は司が首を傾げる番である。
彼らはストイックで、イベントの次の日だろうが何だろうが厳しい練習をしているはずなのに。
「はい。日曜は小豆沢も白石も、彰人も用事があるんだそうです」
「なるほどなぁ。なら、日曜にするか」
冬弥の答えにそう言えば、彼はほんの少しだけ眉を寄せて頷いた。
きっと、彼自身も気がついていないほど小さなそれ。
「…もしや、何か用事があったか?」
「…いえ。…あの…」
心配になって聞いてみれば冬弥がおずおずとこちらを見る。
言ってみろ、と促してやると彼は小さく口を開いた。
「…ご迷惑でなければ…その、土曜日の…夜にお邪魔したいな、と…」
「オレは構わんが…そちらは大丈夫なのか?」
「はい。父さんも、司先輩のところであれば文句はないと思いますので」
頷いた冬弥に、それならまあ、と思いつつふと気になることがあった。
何故、土曜日の夜から来たいと言ったのだろう。
イベントの後であれば疲れていそうなものなのに。
「それに…イベントの後すぐ、良い歌を歌った状態のまま、先輩にイベントの話を直接したかったんです」
「…!なるほど」
はにかんだ冬弥に司も小さく笑った。
なら、と彼を引き寄せる。
「たくさん、たくさん話をしよう。何せ、次の日は休み。しかも家で映画を観るという素晴らしい予定があるだけだ。これぞ、おうちデートの醍醐味だとは思わないか?なぁ、冬弥!」
囁いてにこりと笑う。


ふたりきりで過ごす素敵な休日。


好きな映画を見てたくさんたくさん話をして。


ほら、おうちデートをしよう。


(たまにはこんな休日もありだよな!)

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