リンレン2

「終わったぁ、疲れたぁ…!」
リンがパフン、とベッドに横たわる。
途端に髪を乾かしていたレンが「おい、そこおれの!」と声を荒げた。
「いーじゃん、レンのけちぃ」
「けちじゃねぇよ。ちゃんと決めたじゃん」
ブスくれたリンにレンが言う。
そーうだけどぉ、と言いながらリンは隣のベッドに移った。
「つーかまだ終わってないだろ」
「リンパーティーは終わったもん」
「レンパーティーは終わってないんだよなぁ」
はぁ、と息を吐くレンを、リンは気にも止めずスマホの電源を入れる。
それを見止めたレンが嫌そうな顔をした。
「エゴサはなしって言われたろ」
「だぁって気になるしー!」
バタバタと足を動かすリンはネットを開こうとし…突然鳴り出した着信音に驚いたように飛び起きた。
「ひゃっ、わっわっ!」
『こんばんは、リンちゃん!レンくん!』
『よっ、元気?』
慌てながら通話ボタンを押したリンの声をかき消すように、ビデオ通話が始まる。
その相手は。
「カイコさん?それにミクオも」
画面の向こうで手を振っていたのはKAITOの先天性女体亜種KAIKOと初音ミクの先天性男体亜種初音ミクオである。
「カイコたん!クオくん、こんばんは!」
『…ライブ後なのに元気だな…』
ぱぁあと表情を耀かせるリンにミクオはうわぁという顔をした。
その横でカイコがくすくすと笑う。
『そうそう!私もライブ行ったんだよ、ね、クオ君』
「えー、本当?!!」
『ああ、まあ。…姉さんが行くって言ったからな』
「…なんだそれ」
嬉しそうなリンとミクオの言葉に呆れたようなレンにまたカイコが笑った。
『もー。…リンちゃんのパフォーマンスすごく良かったよ!メランコリック可愛かった!衣装もたくさん変わってたね』
「えへへ、嬉しい!ありがとう、カイコたん!」
『レンくんのパフォーマンスも凄かったなぁ。レンくん、足を上げるダンス多かったね?凄いなぁ』
「そ、そうスか?そりゃどうも…」
楽しそうに感想を語るカイコにレンは照れたようにそう言う。
カイコはカイトとよく似ているので、なんだかむず痒かったのだ。
それを知っているミクオが画面の向こうでニヤニヤする。
「…んだよ?」
『別にぃ?』
『ふふ。クオ君だってロキ凄かったって言ってたのに』
楽しそうなカイコに、ミクオが焦った表情になった。
『ちょ、カイコ姉さん?!』
「そうなの?!クオくん!」
『クオ君、リンちゃんの孤独の果てとレンくんのメインキャラクターですごく感動しててね…』
『…っ、カイ姉ぇ!』
身を乗り出すリンにカイコが言う。
それをミクオが遮った。
『…んだよ』
「別にぃ?」
今度はレンがにやにやとしてみせる。
そんな二人を見ながらリンとカイコが笑った。
『…っと、明日もライブなのにたくさん話しちゃった、ごめんね?』
「ううん!感想すごく嬉しかった!ありがとう!!」
『ま、明日も行くから頑張れよな』
「言われなくても」
画面越しにミクオが拳を突き出し、レンも同じように拳を突き出す。
『レンパーティー、楽しみにしてるね!リンレンパーティーは配信で見るんだ』
「そうなの?!配信もすっごく良いものにするから、楽しみにしてて!」
笑顔のカイコに、リンもグッと気合を入れるように言った。
バイバイ、と二人が手を振り、ぶつんと切れる。
「相変わらず、クオくんはカイコたんのこと大好きだよね!」
「大好きっていうか、もう過保護だよな、あれ」
笑うリンに、レンは言いながらベッドに入った。
「…楽しみだって」
「…だな」
「…頑張ろうね、レン!」
「…当たり前だろ、リン」
言い合って二人は目を閉じる。


楽しみにしてくれる人がいるから

明日のライブも頑張ることができるんだ



…瞼の裏で、今日のペンライトがきらきらと光った

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