リンレン3

「終わっちゃったね…」
「…終わっちゃったな」
あたしの言葉にレンがぼんやりと返す。
珍しいなぁ、なんて思いながらあたしはレンの背中を押した。
ちょっと迷惑そうな顔をしたレンがあたしの出した拳に目をぱちくりする。
それからすぐ笑顔になって同じ様に拳を合わせてきた。
「…お疲れ、リン!」
「お疲れっ、レン!」
グータッチをして互いを労う。
やっぱりやりたいことをすぐ分かってくれる存在って良いよね!
うちは双子設定だけど、他の『鏡音リン』『鏡音レン』もそんな感覚あるのかな?
「っていうか、ちょっとボーッとしすぎじゃない?レン、大丈夫??」
「大丈夫…だけど、なんていうか…終わったなって、思って」
「えー?あたしには余韻に浸らせてくれなかったのにー」
「リンの場合は次の日があっただろ」
ブスくれるあたしにレンがさらっと言う。
もー、そういうとこドライなんだからぁ。
「…来年も見れたら良いな、この景色」
レンが小さく笑ってあたしの顔を覗き込んできた。
あたしは嬉しくなって、うん!と大きく頷く。
オレンジと黄色の光の海、最高だったもん!
レンも同じことを思ってる、ってことでしょ?
そんなの、嬉しくない事なんてあり得ないし!
「絶対、次も見ようね!」
「そうだな、絶対、な」
笑うレンにあたしも笑い返したその時だった。
「…ずいぶん楽しそうだね?リン、レン」
「ライブお疲れ様でした、レン兄様、リン姉様」
くすくす笑う柔らかくて大好きな声がする。
そっちを見るとひらひらと手を振った…。
「カイ兄ぃ!」
「ルカ姉ぇ?!」
「わっ、リンはライブ後なのに元気だねぇ」
「ふふ。…レン兄様は少しお疲れですわね?」
抱きつくあたしをカイ兄ぃが抱きとめてくれる。
その後から付いてきたレンにルカたんが小さく首を傾げた。
「いや、リンがおかしいんだよ」
「えー?アドレナリンが出てるだけだもんー」
「いつもそんな感じじゃん」
「何よぅ!」
失礼なレンに言い返せばレンはさらっとそう言ってくる。
さっきまでのレンはどこ行っちゃったんだか!
「まあまあ。…二人とも、ライブ良かったよ!」
「ええ。最後のテーマソング素敵でしたわ!…コール・アンド・レスポンスが出来なかったのは残念ですわね」
執り成すように言ったカイ兄ぃとにこにこと楽しそうなルカたんがそう言ってくれた。
大好きな二人がそう言ってくれるなんてすごく嬉しい!
「ありがとー!やっぱり、コーレスなかったのは残念だよねぇ」
「でも、その分ペンライトで応えてくれていたよね。俺もたくさん振ったよ」
「私もです。…舞台から見るペンライトの光は綺麗だったでしょうね」
カイ兄ぃがペンライトを振る真似をして、ルカたんがほぅ、と息を吐いた。
二人して顔を見合わせて、うん!とほぼ同時に頷く。
「すごく綺麗だったんだよ!見える景色ぜーんぶ黄色とオレンジ!」
「光の海ってマジなんだと思った!すげー感動した!!」
興奮して話すあたしとレンに、カイ兄ぃとルカたんは楽しそうに聞いてくれた。
最初のオープニングからテンションがブチ上がるほどだったとか、衣装が可愛かったとか、ダンスが難しかったとか、バンドがすっごくすっごく良かったとか、アンコールが嬉しかったとか!
「そういう話を聞くと、俺達も頑張らなきゃって思うよね」
「そうですわね。…私達も早くライブしたいですわ」
カイ兄ぃとルカたんがそう言う。
「二人だけのライブも良かったけど、皆でやるライブも楽しみ!」
「そうだな。…やっぱり、全員揃うのもワクワクするよな!」
あたしのそれに、レンも頷いた。


黄色とオレンジの光の海も素敵だけど、やっぱりみんなの色が混じった光の海もすっごく素敵、だもんね!

よーしっ、次のライブも頑張るぞー!!!



「ふふ。私もリン姉様と一緒に歌いたいですわ」
「!あたしもルカたんと歌いたい!!」
「本当ですか?では、ANTI THE∞HOLiCとか…」
「ごめんね、ルカたん。それライブでやるの大丈夫かな??」
「なぁ、兄さん。おれも兄さんと歌いたいんだけど」
「えー?去年一緒に歌ったのに?」
「去年は日替わりだったじゃん!しかも1曲はコーラスだったじゃん!っていうか今年は今年じゃない?!」
「それはレン次第かなぁ…」

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