司冬ワンライ・ひまわり/眩しい

キラキラ、太陽が降り注ぐ。
今日は絶好の出立日和だ。
実は、ショーをする場所が少し遠いのもあり、えむの家が所有するクルーザーを使って行くことになったのである。
「…司先輩!」
「…おお、冬弥!」
手を小さく振る冬弥に司も手を振り返した。
朝早いから別に良いと行ったのだが、せっかくだからと彼は見送りに来てくれたのだ。
律儀だなぁと口角が上がってしまう。
「すまんなぁ、わざわざ来てもらって」
「…いえ。俺が来たかったんです」
へにゃ、と笑う冬弥に、司は嬉しくなって「ありがとうな、冬弥」とその頭をなでた。
「…先輩」
「お、どうした?」
しばらくそうしていたが、顔を上げた冬弥に、司は首を傾げる。
これを、と出してきたのは小さなひまわりの花が7つ集まったブローチだ。
「…これは」
「…司先輩たちのショーが無事に終わることを願って」
微笑む冬弥にそれを手渡される。
太陽にきらきらと光るそれはとても綺麗で。
「ひまわりの色には愛する人の無事を願う色、という意味があるのだそうです」
「…そうなのか!」
「はい。…遠くからお祈りしますね、先輩」
柔らかい彼の笑みと、眩しいひまわりの色。
それだけで、司のやる気はますます上がり、ああ!と太陽に負けないくらいの笑顔で頷いたのだった。
「無論、ショーを大成功させて、無事に愛する冬弥の元へ帰ってくるぞ!」



きらきら眩しいひまわりのブローチが光る。

冬弥が込めた花言葉をたくさん添えて。


(さあさあ、いざ出向!)

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