ミクルカクオイコ

どうも、初音ミクでっす☆
さて、毎年忘れがちな私の誕生日、今年はちゃぁんと覚えてた…覚えてたんだけど。
「…ねぇ、初音さん?」
「…。…なんでしょうか、初音さん」
恐る恐る聞く私に小さな声が返ってきてほんのちょっとホッとした。
いやまあ、ホッとしてる場合じゃないんだけども。
「今日は私の誕生日だし、ミクオくんの誕生日だよね?」
「…そうだな」
「毎年忘れちゃって、ルカちゃんがいないってミクオくんに愚痴りに行くよね?」
「…そうだな」
「今年はちゃんと覚えてたしうちサプライズ禁止になったから待てが出来る初音さんなんだけどもね?」
「…そうだな」
上の空なミクオくんに、どうしよっかなぁと息を吐く。
端的に言うと、ルカちゃんと一緒にカイコちゃんがMVの撮影会に行っちゃって。
あ、カイコちゃんっていうのはKAITO型の女体化亜種ね!
お兄ちゃんに似ておっとり癒し系なんだぁ。
…って、それは置いといて。
そのカイコちゃんが大好きな初音ミクオくんは、私こと初音ミク型の男体化亜種…割と暴走パワー系な私と違って、どっちかっていうとちょっとレンくんみたいなダウナーさがある…どーうやら撮影会を知らなかったみたいなんだよね!
二人で誕生日会をする予定だったらしくて落ち込んじゃったんだけど、もー、落ち込み方が私そっくり。
そんなところ、似なくて良かったのにねぇ?
「…なんか失礼なこと考えてるだろ、初音さん」
「やだなぁ、何のことかさっぱりですわよ、初音さん!」
じろっと睨まれて私は誤魔化すように笑った。
やっぱり亜種だけあって分かっちゃうのかな。
「…。…オレ、別にカイコ姉さんが祝ってくれないから落ち込んでるわけじゃないからな?」
「…そーなの?!!」
ミクオくんの言葉に私はびっくりしてしまった。
てっきりそうなのかと…。
「ミクじゃあるまいし」
「それは否定しないけども。じゃーなんで落ち込んでるの?」
「…そりゃ…」
首を傾げる私にミクオくんは言い訳がましく口を開く。
出てくるのはミクオくんらしくない弱音。
「…オレよりルカさんの方が良いのかなって、思うだろ…」
「…へ?」 
思わず、きょとんとしてしまう。
だって、ねぇ?
「誕生日に毎年毎年ルカさんとどっか行ってたら気になるじゃんか」
「けど、あれは私達の誕生日プレゼントを用意してくれてるんだよ?」
「そうは分かってるけどさぁ…」
ため息なんて吐かれてしまって私は思わず笑ってしまった。
まさか、あのミクオくんがねぇ?
自分の記念日にもらうプレゼントより、『一緒にいてほしい』を願うなんて!
「言えばいーのに」
「今更恥ずかしくて言えるかよ」
「…言わなきゃ伝わらないのに」
「伝わらなくていいんだよ、そんな醜い嫉妬じみた…」
ミクオくんが言いながらこっちを見る。
私はぶんぶんと首を振った。
私が言ったのは、「言えばいーのに」って言葉だけ。
そう、だから。
「…カイ、姉ぇ?」
「私は、醜いなんて思わないけどな」
にこっとカイコちゃんが笑う。
「一緒にいたいのは私も同じなんだけど。でもクオくんにプレゼントも渡したいの。…欲張りかな?」
こてんと首を傾げるカイコちゃんに、今度はミクオくんがぶんぶんと首を振った。
全く、人騒がせなんだからー!
「ルカちゃーん!」
「あら、ミク姉様」
そっと部屋から出ると案の定ルカちゃんがいて、微笑んでくれた。
んー、やっぱりルカちゃんはマイエンジェル!
「お誕生日おめでとうございます」
「わぁい、ありがとう!今年は何をくれるの?」
「ふふ、見てのお楽しみですわ」
楽しそうなルカちゃんの隣に並ぶ。
可愛いなぁと思いながら私はするりと手を繋いだ。

欲張りだろうがなんだろうが、私はルカちゃんからのプレゼントももらうし、ルカちゃんの時間もルカちゃん自身もたぁっぷりいただきたいの!

(だって今日は私のお誕生日様!)

「ルカちゃん、だぁいすき!」
「私もですわ、ミク姉様」

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