人/柱アリ/ス×フラハイで小説!三番目

キャラ崩壊注意!

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「本当なの?」
可愛らしい少女がクリーム色の髪を揺らして首を傾げます。
「そんな話、信じられないわ」
「信じる信じないは貴女次第よ。私は事実を告げただけ」
眉を顰める少女ににこりとそう言ったのは夢でした。
「私は夢。此処は貴女の世界。此処は貴女の本当の願いが叶うと」
「如何してそう言い切れるの?大体貴女私の願いを知らないでしょ?」
少女はやっぱり不思議そうにそう尋ねます。
先ほどから薄く聞こえる、煩わしい『音』を振り払うように少女は髪を手で払いました。
それを見、夢はにこりと笑います。
「そう・・・そうね。ニア・・・貴女の願い、それは『我が侭を言いたい』かしら?誰にも叶えられないような事を命令してみたいと、優しそうな顔で思ってるんでしょう?」
違う?と夢はふわりと尋ねました。
ニアと呼ばれたその少女は驚いたような表情で突っ立っています。
「・・・でも・・・でも、そんなの誰でも持ってる願いだわ!」
「そうかしら?でもまあ今の、全てを我慢し、笑顔を振りまき、ただ一人を愛する貴女の様な生活なんて私はごめんだけれど」
にこっと夢は笑って言いました。
「・・・いいの?我が侭言っても、許される?冷たい目で見られたりしない?」
「ええ。此処は貴女の願いが叶う場所」
やってみる?夢はニアに笑いかけます。
少しだけ躊躇していたニアはやがてこくりと頷きました。
「じゃあ・・・ほら」
夢が指差した方に視線を向けると一人の青年が立っていました。
ニアはその青年に向かって呼びかけます。
「ねぇ!あの音を止める事は出来る?耳障りで仕方がないの!!」
「もちろん。・・・ニアの為なら」
青年がにこりとニアに笑いかけ、立ち去ります。
その途端、小さく聞こえていた音がぴたりとやみました。
「凄い、凄いわ、夢みたい!!」
ぴょんっとニアは飛び上がります。
それから周りを見回してすぐに駆け出しました。
「ねぇっ、私とお話しない?」
「いいぜ、おれで良けりゃ」
話しかけた黄緑髪の青年がニッと笑ってニアの隣にやってきます。
「何処に行く?ニアが行きたいトコ言ってくれ」
「わ、私は・・・話が出来ればどこでも」
「ニアは純粋なんだな。もっと我が侭言えよ?」
「う、うん」
笑う彼にニアも頷きました。
「夢なんだからいいよね」
ニアが呟きます。
そして少し考えてからにこりと笑いました。
「じゃあお洒落なカフェに行きたいな」
構わないかしら?と尋ねると青年はにこりと微笑みます。
「勿論。ニアがそう望むなら」
青年が連れて来たのは開けたところにあるオープンカフェでした。
「あら、いらっしゃい、ニア」
ネイビーブルーの長い髪をポニーテイルにした女性がにこりと笑います。
「何が欲しい?何でも言って頂戴。叶えてあげるから」
「でも」
「遠慮しないで。私は貴女の願いを叶えるのが仕事よ」
「そうだぜ、ニア。おれたちはニアの願いを叶えるのが仕事なんだ」
戸惑うニアに二人が口を揃えて言いました。
二人の声は悪魔の囁きにも聞こえます。
ニアはにっこりと笑いました。
「・・・夢なんだから、いいわよね」
最初は二人に他愛もない事を叶えてもらっていたニアでしたが数時間もたたない内に色々な人が集まってきます。
彼女の性格が、声が、その容姿が、そう何もかも全てが老若男女問わずに多くの人を魅了しているようなのでした。
小さな彼女の小さな願いを国中の人間が叶えてくれます。
彼らはにこりと笑ってニアの願いを叶え、また次の願いを聞いてくるのでした。
「ねぇ次はどうしたいの?ニア」
「ニアがしたいことならなんだって協力するぜ」
「ニア」
「ニア」
ニアをを呼ぶ声が街に響きます。
今や彼女の願いを、まるで女王の宣旨の如く国民が望んでいました。
それに戸惑いを感じたのは一瞬だけで、ニアは胸の内に秘めていたことを次々に曝け出します。
現実となる己の願いをうっとりと眺めるのが、今のニアの最高の幸せでした。
「次は?次の願いは何?」
「魔獣を作るの。何にも負けない強い魔獣、世界の魔獣を一掃出来るような魔獣を・・・!!」
ニアが可愛らしく笑います。
「勿論、ニア様の為なら」
国中の声がニアを包みました。
もはやニアはこの国の女王と化していたのです。
誰も彼もがニアのために跪くようになって・・・暫く。
「魔獣はまだ出来ないの?」
ふわりとドレスをひらめかせ、ニアがイラだった様に言いました。
「・・・もうすぐです、ニア様」
フードを被っている赤い髪の女性が微笑みます。
その女性は一枚の大きな鏡を持っていました。
「・・・なぁに?」
胡乱気な眸でニアは女性を見、鏡を覗き込みます。
鏡に映る姿を見たニアは大きく目を見開き、そして。
「いやぁあっ!!」
ニアが頭を抱えて叫びます。
映っていた姿は彼女自身が半分魔獣となった姿でした。
「何よ・・・何よ、これっ!!」
「あら、素敵ね、女王様」
絶望に打ちひしがれるニアに声をかけたのは夢です。
「どういうことっ?!!私は、こんなの望んでないわ!!これは私の願いじゃない!!!」
「そうね。でも、魔獣研究に携わったものはどうなるか・・・貴女が一番良く分かっているはずだけど?」
くすりと夢は笑って言いました。
そんな夢の言葉にニアは頭を振ります。
「嫌、嫌よ、嫌嫌っ、魔獣に成下るなんて絶対に嫌!!!」
綺麗な鳶色の眸に涙を浮かべてニアは膝をつきました。
「私は女王よ・・・?国の長なのよ・・・?誰か、助けてよ・・・っ!!」
ニアが己の身体を抱きしめながら震える声で言い募ります。
「そう、命を出せば、いいわ・・・。・・・これは、女王命よ・・・誰か、助けてっ!!!」
「・・・そうやって無駄に足掻けばいいわ、女王様」
夢は狂気の女王となったニアを冷たく見てから扉を閉めました。
声にしない問いをその場に霧散させて。




「・・・ねぇ、ニア(三番目アリス)」
ユニセックスな声と服、女王の手を取り傅く銀の短髪の、「お姉ちゃん」と微笑むあの子はだあれ?

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