ラッキースケベ(光忠♀ワンドロ・へし燭♀

その日は疲れていた。
だから、気付かなかったのだ。
暗い所為で良く見ていなかったのもあるが。
「・・・え?」
「・・・は?」
普段ならいたずらだってすぐわかっただろう。

風呂場の表記が入れ替わっていることくらい。

深夜も近くなって、長谷部はふらふらと風呂場に向かった。
あまり考えなしにがらりと脱衣所の扉を開ける。
「あれ、清光ちゃんが遅いの珍し・・・」
「・・・あ?」
明るい声に顔を向ければ光忠が下着を脱ごうとしている所だった。
「・・・え?」
「・・・は?」
余りの光景にひと時ぴたりと止まる。
「う、うわぁああ?!!!」
「す、すまん!!」
最初に動いたのは光忠で、顔を真っ赤にして座り込んでしまった。
慌てて謝りながら・・・その場から立ち去ればよかったのに彼女の方に歩み寄る。
途端、何かにつまづき、つんのめった。
「うわあ?!!」
「へ、ちょ、うわああ!!!」
思わず手が出る。
ひっと彼女の喉が鳴る音が聞こえたと思った刹那、光忠は自分の下にいた。
うにゅ、と掌を柔らかい感触が包む。
「は、長谷部くん、痛い・・・」
小さな声に恐る恐る彼女の顔を見れば、金の目に綺麗な涙が溜まっていた。
「あああすまん、光忠!!」
「・・・え、ううん。大丈夫」
慌てて彼女の上からどくと、ほっとした表情をする。
手を差し出して彼女を立たせようとし・・・引っ張られた。
再び柔らかい感触が今度は顔に伝わる。
「みつ、ただ?」
「ひゃぅっ!」
びくんっと彼女の躰が跳ねた。
「ご、ごめん!!長谷部く・・・?!!」
おろっとした光忠の躰を抱き上げる。
からりと風呂場の戸を開け、湯船に放り込んだ。
「・・・っ!げほっごほっ!は、はせべく・・・ひぃぅ?!」
「あまり男を煽るなよ、光忠?」
にやりと笑いかけ、胸を揉みしだく。
「ちょ、やぁ、ぁ・・・そ・・・っちが悪いんじゃないか・・・ぁ!!」
「ああ、そうだな」
確かに最初はこちらの不注意からだった。
だがその後に煽ったのは彼女の方だ。
ぱしゃぱしゃ。
風呂の湯が跳ねる。
「やら、ぁ、や、だぁ・・・!!」
彼女の高い声が風呂に響いた。

夜はまだ長い。

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