かごめていつか

かごめ、かごめ

籠の中の鳥は

いついつ出やる









街で聞こえた子ども達の歌声。
あの時と、同じ。
可愛らしい声に彼がふっと笑顔になったのは何時の事だったか。











扉を開けた。
「ただいま」
暗い部屋に据え置かれた真っ白いベットの上に居る彼に向かって声をかける。
ふわりと黒い髪が揺れた。
胡乱気にこちらへ向けられた眸に向かって笑いかける。
ジャラリと鎖の擦れる音が部屋に響いた。
「今日は街で懐かしい歌を聴いたよ」
その懐かしい歌はもう彼の耳に届くことはない。
もう二度と。








健康的だった肌は不自然に白く、あの意志の強かった眸はどろりと濁っているけれど。
もう怯える事を通り越し抵抗する気力すらない、完全に堕ちた彼だけれど。

それでも。








ああ、今日も此処にいる
ずっと、ずっと













神よ、神よ









この閉鎖された空間の中から







彼は何時になったら此処から出て行ける?



















(それは在り得ないと己が一番分かっている






     
だって『それ』をしたのは己自身じゃないか)

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