エイプリルバースデイ!(アカカイ)

「カイコクさん!」
アカツキの声に、ふわりと髪を舞わせてカイコクが振り向く。
「…入出」
「カイコクさん、俺ね、今日誕生日なんですよ!」
にこにこと告げるアカツキに、カイコクは小さく目を見開いた。
意外だとでもいうようにアカツキを見つめてから小さな笑みを浮かべる。
「そうかい、そりゃあおめっとさん」
「ありがとうございます!」
それを聞き、上機嫌にアカツキは礼を言った。
「しかし、もっと前もって教えといてくれりゃあプレゼントくらいは用意したってェのに」
「えー?カイコクさん自身をくれても良いんですよ?」
「それは断る」
クスクスと笑っていたカイコクは、アカツキの言葉に花が舞うような笑顔を見せる。
ガードが固いなぁとアカツキは苦笑した。
…と。
ふに、と口唇に当たる、柔らかな感触。
意外なそれに固まっていればカイコクはすぐに離れる。
「…俺が与えてやれるのはこれくらいでぇ」
「…カイコクさん…!!」
本当に珍しい彼からのデレに、アカツキは思わず己の口を抑えた。
ほんの少し恥ずかしそうにそっぽを向くカイコクに、勢いで抱きつきそうになる。
「俺、幸せです!」
「…存外単純だねェ、入出は」
きょとんとしてみせた彼が肩を震わせた。
「大好きな恋人の貴重なデレですよ?嬉しいってもんです」
「…そうかい?」
「はい!」
首を傾げるカイコクに、アカツキは大きく頷く。
「でもやっぱりカイコクさんが欲しいですよー、俺、今日誕生日ですよー?」
尚も強請れば、やれやれと言わんばかりにカイコクが息を吐いた。
「仕方がないねェ…。…なら、一つゲームをしねぇか?」
「ゲーム、ですか」
「そ。制限時間1時間で俺を見つけられたらお前さんの勝ち、見つけられなかったら俺の勝ち。買った方が一日ご主人様でぇ」
どうだい、と笑う彼にアカツキはあまり乗り気ではない声を出す。
「カイコクさん、俺、体育2ですよ?」
「かくれんぼと鬼ごっこだろ?体育関係あるかい?」
「ありますよー!基礎体力の問題です」
「そりゃあ…まあ…頑張ってくんな?」
ふわりとカイコクが笑んだ。
その笑みは、どうしたって手に入れたく。
アカツキは思わず元気良く、「はい!」と返事をしてしまったのであった。
「…やる気は充分みたいじゃねぇか」
「…あ」
ふわふわと綻ぶ花のように笑う彼に、声を漏らす。
「カイコクさぁん、せめてお誕生日さまハンデを…」
「入出は、ハンデをつけて俺を手に入れて、嬉しいかい?」
「そりゃあまあそうですけど」
拗ねるアカツキにカイコクが己の指をアカツキの唇にそっと当てた。
綺麗に微笑む彼にはどう考えたって適わない。
カイコクのこの言葉に、アカツキは先程よりも元気に返事をするしかなかったのだった。
「男なら、自分の力で頑張んな」






(さて、ここで問題です

この会話に出てくる嘘はいくつあったでしょうか?)

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