いいおっぱいの日!(彰冬♀)

え、と思った。
「おはよう、彰人」
柔らかな笑顔で笑いかける…ツートンカラーの髪の…相棒。
青柳冬弥は…まごうこと無き『男』だったはずなのに。
「…?彰人?」
不思議そうに首を傾げる冬弥。
どうした、と言う『彼女』の胸が…『揺れた』。
「…待て、これはなんだこれは!」
がしりと肩を掴んで思わず恫喝する。
顔が近い、と冬弥が顔を歪ませた。
「…。…セカイに行った時、丁度音楽プレーヤーの調子が悪くて。想いの歌に音飛びが生じてこうなった。…MEIKOさんはよくあると言っていたが…」
「…よくあるで済まされて溜まるかよ…」
冬弥の説明に思わずはあ、とため息を吐く。
それにしても冷静だな、と女になってしまった彼を見つめた。
そう、冬弥は女になってしまっていたのである。
学校が休みで助かった、と心底思った。
いつもの髪は肩まで伸ばされ、切れ長の灰青の目は少し柔らかい。
何より、普段の服から見える谷間は思春期の男子高校生にはかなり、キツかった。
可愛いとか可愛くないとか、そう言う問題ではない。
単純に、本能を理性で抑え込むのがいっぱいいっぱいなのだ。
「つか、よくバレなかったな」
「ああ。少し早く出たから」
「…ってことは、オレが来るまで一人でここに居たのかよ?!」
「…?…そうだが」
不思議そうに冬弥が、その発言に驚く彰人を見る。
周りを見れば男たちが遠巻きにこちらを窺っていた。
よくまあ彰人が来ない内にナンパをされなかったものである。
「…っ、彰人?」
「いーから、くっついてろ」
ぐいっと腰を抱き、引き寄せた。
腕に、見ただけで豊満と分かる胸が当たる。
何とか平常心を保ちながら周りの男たちを牽制していれば、腕の中の冬弥が小さく笑った。
軽く、その胸も揺れる。
「…なんだよ」
「…いや。何も」
柔らかく微笑む彼女は彰人を見上げ。
「…彰人なら、気にしないんだが」
「…は??」
目を見開く彰人の手を取り冬弥は笑む。
…そうして。
「…確かめてみるか?」





「…っつー夢を見たんだけど…」
「…彰人、セカイは想いを形にする場所だけど何を願っても良い訳じゃないんだよ?」
「わーかってるって」
「…後、冬弥にそれ言わない方が良いよ…。オレはまあ彰人の気持ち、分からなくはないけど、本人は引くと思う」
「…あったり前だろ…」
呆れ顔のレンに彰人は答えながらアイスコーヒーを啜る。
大体あの冬弥は解釈違いだ。
「…冬弥は、あんな事言わねーし」
呟いたそれは、カラン、と音を立てる涼やかな氷に溶けて消えた。

(それでもまあ、触っておけば良かったかな、と思ってしまうのは男の性じゃないか?


だってオレら、健全たる思春期男子!)

「ところで、その冬弥ちゃん?は何カップあったの?」
「…あー、見た感じはDとか…Eとか…?分かんねぇけど」
「へー。ちなみにKAITOのジェンダーチェンジ個体はCだよ」
「ふーん…。…今なんて???」

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