ワンドロ・旅行/お揃い

MEIKOのカフェで何やら計画している男子が二人。
「やぁ、何やっているんだい?テスト勉強とか?」
「…こんにちは、KAITOさん。いえ、そうではなく…」
「…。…せっかく終わったのに思い出させるんじゃねぇよ…」
にこにこと話しかけるKAITOを、柔らかく微笑む冬弥と嫌な顔の彰人という両極端な二人が見やる。
「こら、彰人」
「あはは、ごめんごめん。それで何を…」
ムッとする冬弥に、謝ったのはKAITOの方だ。
あっさりと謝罪し、彰人たちの手元を見る。
「…旅行…計画書…?」
「…。…もうすぐ夏休みになるんで。冬弥と日帰り旅行の計画を」
「日帰り旅行!いいねぇ」
首を傾げるKAITOに彰人が観念したように言った。
それに小さく笑った冬弥が、表情を輝かせるKAITOに補足で説明する。
「冬にも同じことをしたんですが、迷ったりもしてしまって。それも楽しかったので今度は別の場所にしようかと」
「前はどこに行ったんだい?」
「隣町のパンケーキが評判の純喫茶に。後は彰人が行きたがっていたミュージックカフェにも行きました」
「冬弥が行きたがってたトコにも行ったろ。ブックカフェ、だっけ?」
「ああ。…それから迷った末に猫喫茶に辿り着いたりとか」
「へぇ、楽しそうだね」
学生らしい日帰り旅行にKAITOは楽しそうに笑った。
それから、そうだ!と声を上げる。
「なら、次はセカイ旅行とかどうだい?」
「世界って…オレらまだ学生…」
「違う違う。この、君たちのセカイだよ。意外と知らないお店があるかも?」
呆れた顔の彰人に、KAITOが笑った。
「最近またお店も入れ替わったみたいだよ。…ほら、このミサンガもレンとお揃いで買ったんだけどね…」
楽しそうなKAITOに二人は顔を見合わせる。
それから、ふは、と笑った。
「冬弥と揃いのものを買うセカイ旅行か、良いな」
「ああ。…彰人が一緒なら楽しそうだ」


穏やかな笑い声が響くセカイのカフェで、


特別楽しみな旅行の話!!


(一ヶ月後、二人の指には揃いのアクセサリーが光っていた)

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