司冬ワンライ・新学期/図書室・生徒会室

新学期。
夏の蒸し暑さはまだ残るものの、何となく涼やかさも肌に感じ、司は伸びをする。
「…司先輩?」
「ん?おぉ、冬弥か!おはよう!」
後ろから声をかけられ、司は振り向いた。
そこには後輩であり幼馴染、そして恋人の冬弥がいて司は笑顔を振りまく。
「おはよう御座います。なんだか、久しぶりな気がしますね」
「そうか?つい2日前にも会った気がするが…」
微笑む冬弥に司は首を傾げた。
練習帰りという冬弥を引き止め、司の家でスイカを食べたのだ。
大きなスイカを頬張る冬弥は可愛らしく…司も、妹である咲希も思わず笑顔になってしまった。
閑話休題。
その件が数日前だったから久しぶりかと言われると疑問符を浮かべてしまうのだが…冬弥は柔らかく微笑んだままだ。
「いえ、その…制服姿の先輩が、です」
「ああ、なるほど、な」
その言葉に司も笑う。
確かに制服姿は久しぶりだ。
「どちらのオレも、格好良いだろう?!」
「はい。…司先輩は私服も制服も素敵です」
「そうだろうそうだろう!冬弥も、どちらもお前らしくて格好良いぞ!」
「…ありがとうございます」
ほわ、と微笑む冬弥に司も満足そうに頷いた。
そのまま2人並んで歩く。
こうして一緒に登校するのも久しぶりだ。
「今日は始業式と宿題提出だけだったな?」
「はい。後は各委員会があるみたいで」
「おお、そうだった。冬弥は委員会は図書室でするのか?」
「はい。…司先輩は…」
冬弥がはた、と止まる。
司の学級委員会はどこでやっているのだろう、という顔だ。
「学級委員会は教室を一つ借りていてな。生徒会室、みたいなものはあまり聞いたことがないが…もしかしたら存在するかもしれん」
「そうなんですか?」
「ああ。…その内一緒に探してみるか」
「…楽しそうです」
笑う司に、冬弥も微笑む。
なんだか、小さい頃の宝探しみたいだな、と思った。
「…まあ、冬弥と2人きりになれる教室が増えるのは悪くないかもしれんなぁ…」
「…え?」
きょとん、とする冬弥に、司は何も!と言いその肩を抱く。
秋の風が2人の間を吹き抜けた。



さあさあ、今日から新学期!

(二人の思い出もまた、新たに!)

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