司冬ワンライ・1周年/これからも

「冬弥!今から、少し付き合ってくれないか?」
とある日、放課後の教室で。
ホームルームが少し早く終わった、と笑う司が冬弥に言った。
「今日は珍しく練習がなくてなぁ。無論、冬弥の方の練習がなければ、だが」
「俺も今日は自主練だけなので、大丈夫です」
にこ、と微笑む冬弥に頷き、手を差し出す。
冬弥のクラスメイト(寧々含む)が、またか、という顔をした。
「では、放課後デートと洒落込もうではないか!」



司が冬弥を連れてきたのは、彼が気に入っているゲームが入っているゲーセンだった。
「ここは…」
「以前、一緒に遊びに来ただろう?」
少し驚く冬弥の手を引き、前に教えてもらったゲーム機体の前に行く。
そのときはボロボロだったが、今回は違った。
あれからひっそり練習していたのだ。
「…!!」
「どうだ?1年経てば、少しは上達するものだろう」
目を見開く冬弥に司は笑いかける。
1年、と彼が小さく呟いた。
「…あれから、1年も経ったんですね…」
「そうだな。1周年、というわけだ」
懐かしそうな顔の冬弥に、司は明るく言う。
1周年。
彼とこんな関係になる、きっかけの日から。
「なあ、冬弥」
「…はい」
「これからも、この手を繋いで共に歩んでくれるか?」



司は手を差し出す。

きらびやかな画面を背にして。


はい、と冬弥がその手を取った。



二人の関係は、これまでもこれからもゆるゆる続く!

「…あんた、教室でデートの誘いするの、やめなさいよね…」
「…。…すまん、寧々。善処する…」

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