ワンドロ・かぼちゃorさつまいも/デザート

秋だなぁ、とぼんやり思う。
「…彰人」
「おう」
缶コーヒーを選んできたらしい冬弥が、彰人の手元を見てぱちくりと目を瞬かせた。
「…それは?」
「パンプキンマリトッツォと三種のお芋モンブランだと」
どっちにするかなぁ、と悩む彰人に、冬弥が柔らかく微笑む。
「芋栗南瓜がコンビニのデザートコーナーに並ぶと秋だと感じるな」
「まーな。…冬弥、どっちが良い?」
「…。…そうだな…」
掲げて聞いてから、そういえば冬弥は甘いものは苦手なのだっけ、と思った。
だが、デザートを見つめる冬弥が割と真剣で、ふは、と笑ってしまう。
何でも真剣なのだ、彼は。
「…どちらも甘そうだが…色が彰人に似ているパンプキンの方だろうか」
「…なんだそれ」
冬弥の返答に笑い、彰人は選ばれたそれをかごに入れる。
もう一方は棚に戻した。
「?そちらは買わないのか?」
「まあな」
不思議そうな冬弥にそう返して彰人はレジに向かう。
その前に売っていたあるものを注文し、会計を済ませた。
「待たせた」
「大丈夫だ。…その袋は?」
「ああ、これな」
首を傾げる冬弥に袋の中身を取り出して半分に割る。
驚く彼にそれを差し出した。
「ほらよ」
「…!あり、がとう」
ふわ、と冬弥が笑う。
柔らかい湯気がニ人を包んでいた。


彼と分け合える、秋のデザート


頬張る彼が可愛い、それは


「…美味しいな、焼き芋」
「だろ?」

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