司冬カレンダー

カランカラン、という軽い音がする。
真っ直ぐに伸ばされた彼の背が軽く曲がったのを見、司も同じ様に一礼をした。
二拍手の後、綺麗な目が伏せられる。
何を願っているのだろう、なんて聞くのも野暮な気がして司は新年の挨拶のみを済ませた。
願いは神に聞いてもらうばかりでなく自分で叶えるものだ。
「…司先輩」
「…うん、行くか」
お参りも済み、司は冬弥と共に境内を歩き出す。
風も通り抜けられないくらい、ぴったりと二人並んで。
新しい年が、始まる。


今宵はクリスマス。
人々がわくわくする、そんな夜。
けれど司がクリスマスを実感するのは、煌めくイルミネーションよりも、街に流れるクリスマスソングよりもなによりも。
「!冬弥、メリークリスマス!」
「…メリークリスマス、です。司先輩」
赤い頬に白い息で柔らかく微笑む冬弥の表情に、嗚呼、クリスマスが今年もやって来た、と思うのだ。

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