レンカイ

鏡音レン、本日15回目14歳の誕生日である。
「…おれさぁ、年齢変わらないシステムはどうかと思うんだよね」
「…どうしたの?レン。いきなり」
おれの傍でスマホを見ていた兄さんがきょとんとした。
あー、その表情好きだわー…って、いかんいかん、ミク姉ぇみたいになってる。
「だってさぁ、実年齢で行けば29歳じゃん。大人じゃん」
「…。…稼動年でいえば15歳だよ?まだまだ子ども」
不満を漏らすおれに兄さんはくすりと笑った。
あー!またそうやって子ども扱いする!!
「稼動年でいえば兄さんも変わんないだろ」
「変わるよ。俺、2006年生まれだよ?」
「1年違いじゃん!!!」
「1年でも先輩は先輩」
くすくす笑った兄さんがおれの頭を撫でてきた。
その扱いはまるきり子どものそれ。
確かに実年齢+稼動年でも全然敵わないけどさぁ!!
「…兄さん、実年齢公表されてないよね?」
「されてないというか…作られてないというか…?大体20代前半くらいって感じかな」 
「なら、おれより年下の可能性が!」
「20代前半って言ったよね?」
兄さんが笑う。
ちぇ、なんだよー。
「で、何で年齢の話?」
「え?ああ、スマホゲームのおれらがさぁ、結婚式とかやってるじゃん」
「…別に結婚式をやってる訳じゃないよね?」
「そこ掘り下げないでよ。で、結婚って良いのかなぁってさ」
おれの説明に兄さんはうーん、と首を傾げた。
え、なんでそこで首を傾げんの。
「兄さん?!」
「あ、ごめんね。家族と夫婦の違いって何かなって思っちゃって」
「…ん?」
へら、と笑った兄さんに今度はおれが首を傾げる。
何言って…。
「結婚ってことは家族になるってことでしょう。それって今と変わらないかなぁ、と」
「えー、あー…」
兄さんのそれに何故か納得してしまった。
いやでもそれとこれとはさ?
「それに」
考え込むおれに兄さんがくすりと笑う。
え、と思っていれば柔らかいものが唇を掠めた。
「…レンとは、今でも『こういう事』、してるもんね?」
柔らかく微笑む兄さんの耳が赤い。
ホントもー、兄さんはさぁ!!
「…襲われてもしんねーからな?」
「ふふ。まあお誕生日様には逆らえないってことで」
「なんだよ、それ…」
押し倒すおれに兄さんが楽しそうに笑った。
それに、結婚だの年の差だのなんだの考えていたのが馬鹿らしくなる。


誕生日おめでとう、と柔らかく微笑む兄さんは


きっと形が違ってもおれの一番愛しい人!





「…誕生日になんつー話してんの…」
「あ、ミク。お帰り」
「…ミク姉ぇだってルカ姉ぇとすりゃ良いじゃん」

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