司冬ワンライ・挨拶/初詣

さて、新年が明けた。
今日は冬弥と二人切で初詣である。
まあ、一度みんなで初詣には行ったのだが…。
挨拶、と考えれば、別に何度行っても構わないだろう。
仲間と共に行く初詣も良いが、こうして恋人と行く初詣も良いものだ。
「…司先輩」
「ん、おお!冬弥!」
駆け寄ってきた冬弥に司は手を振る。
「お待たせしてすみません」
「いや、そんなには待っていないぞ?しかし…悪かったな、忙しい時に」
「大丈夫です。俺も、先輩と初詣に行きたかったですから」
ふわ、と冬弥が微笑んだ。
やはり彼は可愛らしい。
「そうか!ならば行くか、初詣に!」
ぎゅ、と冬弥の手を握った。
「…はい」
柔らかい笑みを浮かべた冬弥がふと首を傾げる。
「?どうした?」
「いえ。…初詣、というのはその年初めて神に詣でること…であれば、初詣とは言わないのでは…」
「そうか?」
至極当たり前の疑問に、司は笑った。
「オレと冬弥、二人で詣でるのは初なのだから、初詣と言っても構わないと、オレは思うが」
「…!」
「それに、神にもきちんと挨拶しておかねばな」
時折吹く冷たい風にも負けない、明るい笑みを司は冬弥に見せる。
その言葉を聞いた彼がふわりと頬を染めた。


きっと今年も、良い年になりそうだ。


「神よ、横に立つのはオレの可愛らしい恋人だ、と!」

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