ミクルカの日

「あれ、ミク姉ぇじゃん。何してんの?」
ソファに座ってゲームをしていたらしいレンくんが私を見てきょとんとする。
何って…お仕事帰りですけども……。
「レンくんこそ。何してるの?」
「おれ?おれらが出てる音ゲーしてる」
「また?レンくんそれ好きだねぇ」
けらけらと笑うと「これも仕事だろ」とレンくんが言った。
はいはい、真面目ですこと。
「良いの出た?」
「ガチャは去年ステージのセカイの兄さんが出たからな。兄さんの記念日か次出るまでお預け」
「あー。あのお兄ちゃん格好良かったよね」
「俺がどうかした?」
不思議そうな声に振り向けばお兄ちゃんが洗濯物を抱えてこっちを見ていた。
やー、うちのお兄ちゃんも歌えば格好良いはずなんだけど、何でこんな所帯染みてんだろ。
「何でもない。…兄さんは癒し系小悪魔だからな」
「それ、矛盾してない??」
レンくんの言葉に突っ込む私を見てくすくす笑うお兄ちゃん…自分の事だけど分かってるかなぁ??
「…そういえばミク、こんな所にいて良いのかい?」
「へ?」
お兄ちゃんまで首を傾げてきたから私はぽかんとしてしまった。
な、何かあったっけ?
「…兄さん、多分ミク姉ぇ忘れてる」
「えっ。…忙しいのも考えものかもしれないなぁ…」
「え、まって、私何忘れてるの?ねぇ??」
レンくんとお兄ちゃんのひそひそ話に私は動揺する。
今日何かあったっけ?
えと、お正月から3日、三が日の最終…日……。
「あーっ!!!」
叫んだ私はバタバタと部屋を出る。
かんっぺきに忘れてた!
あんなに準備したのに!!
今年こそは!朝からいちゃいちゃ出来るって思ってた、のにぃい!
「ルカちゃん!!!」
「きゃっ!?」
ルカちゃんの部屋をノックもしないで駆け込めばルカちゃんはびっくりした声を上げた。
「み、ミク姉様?」
「ごめん、遅くなって!!」
目をぱちくりするルカちゃんの前に跪く。
それからポケットから取り出した小箱をパカリと開けた。
「ミクルカの日おめでとう。結婚してください」
「…まあ」
嬉しそうに笑うルカちゃんは、両手でそれを受け取る。
それから。
「喜んで」
ふわり、と花が咲くように笑うから私は胸が一杯になって。
「もう、大好きーっ!!!」
思いっきり、思いっきり抱きしめたのだった。


通算4261回目のプロポーズは


今回も無事成功を収めたのでしたとさ。




「ミク姉ぇさあ、一回おれらを巻き込ミクルカすんの止めね??」
「れ、レン兄様?!」
「いーじゃん。レンくんだって巻き込まレンカイするじゃん」
「み、ミク……」

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