司冬ワンライ・聖なる夜/プレゼント

今日はクリスマスイブだ。
「急がねば…!」 
そんな中、慌てたように駆けて行く人物が一人。
人混みをかき分け、司は焦っていた。
プレゼント選びに時間をかけ過ぎて冬弥との待ち合わせ時間まで迫っていたのである。
普段ならばもっと前から選んでいるのだが、それをすると当日までにもっと良いものが出てきてしまいプレゼントが山のように増えてしまうという悩みがあったのだ。
別にそれでも良いが流石に三つも四つも貰っては困るだろう。
冬弥も、気持ちはわかる、と言っていたので今年はお互い当日に決めようということになった訳だ。
だが、時間をかけすぎたかもしれない。
「冬弥!」
「…!司先輩!」
案の定既に待っていた冬弥がふわ、と表情を和らげた。
「すまん、随分待たせてしまった」
「そんなこと…」
「…ほら、頬が冷たい」
笑みを浮かべて否定しようとする冬弥の頬を手袋を外したそれで挟む。
驚いた顔をした冬弥が嬉しそうに笑った。
「…先輩に隠し事は出来ないですね」
「当たり前だろう!…オレは冬弥の先輩であり恋人なのだからな」
優しく頭を撫で、そのまま手をつなぐ。
聖なる夜に、こうして二人で笑い合えることこそが、一番のクリスマスプレゼントだなぁ、と思った。


雪も溶かすほどに、熱い聖なる夜を貴方と。


プレゼントの中身は…貰った本人だけが知っている。

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