KAITO誕生日

どうも、こんばんは。
鏡音レン、14回目の誕生日を去年迎えた14歳の青少年です。
…そう、青少年、なんですよ!!!


「なぁ、ルカ姉ぇ」
「?はい。如何されましたか?レン兄様」
呼びかけるとルカ姉ぇが小さく首を傾げながら振り向いた。
桃色のきれいな髪が揺れる。
「…うちの兄さんどこ行った?」
「カイト兄様なら、カイコさんとお出かけに行かれましたよ」
「相変わらず仲良しだよな。…元が同個体だからかな」
微笑むルカ姉ぇに、思わず考え込んでしまった。
まあ兄さんたちの場合、あんまり問題視してないんだろうけど。
ちなみに兄さんこと始音KAITOの先天性女性型亜種、始音KAIKOさんとは亜種ってだけで特に何の関係もないんだよな。
ま、そんなことはどーでも良いんだよ。
「なあ、ルカ姉ぇはプレゼントで何貰ったら嬉しい?」
「…。…以前相談に乗ってくださったのに」
真剣なおれに、ルカ姉ぇはくすくす笑う。
いやいや、それとこれとはさぁ…?
「大切なのは物ではなく気持ち、でしょう?」
ルカ姉ぇが誕生日の時の相談内容を持ち出してきてパチンとウインクする。
うわもうそれやられたら勝てないんだけど!
「レン兄様は何を貰ったら嬉しいんですの?」
「え、兄さんだけど…」
「…。…ミク姉様にそっくりですわね、レン兄様…」
ルカ姉ぇの質問にあっさり答えれば、年上のこの妹機は失礼なことを言った。
リンに似てるならともかく、ミク姉ぇは失礼すぎじゃね?
「おれ、ミク姉ぇみたいにがっついてないし」
「…ええと……」
「…何か言った?レンくん…?」
「おわ?!ミク姉ぇ?!」 
ズモモ、と効果音が付きそうなくらい殺気立ったミク姉ぇが背後にいた。
マジでやめろよな…ビビるから……!!
「ミク、バレンタイン直後で限界なんだよね……」
「…悪かったって……」
うふふ、と笑うミク姉ぇから目をそらす。
バレンタインライブで忙しいミク姉ぇは鬼気迫る感じがあるんだよなぁ。
「ミク姉様、その辺りで」
「まあ、ルカちゃんが言うなら…」
くすくすと止めてくれるルカ姉ぇにミク姉ぇが息を吐く。
ナイス、ルカ姉ぇ!
「…そういえば、レンくんってお兄ちゃんにちゃんと好きって言ってる?」
「は?なんだよ、急に」
ミク姉ぇが突然そんな質問をしてきた。
それに思わずムッとしてしまう。
おれだってちゃんと…。
「…」
「ちなみに、初音さんは言ってますよ!ね、ルカちゃん!」
「そうですね、毎日言ってくださっていますわね」
にこにことミク姉ぇとルカ姉ぇがそう言った。
「ちゃんと言葉にしなきゃ駄目だよ?初音さん見習って?」
「いや、見習いたくは…」
首を振りかけて少し考える。
確かに最近言葉にしてなかったしな。
「…おれは兄さんが好き。歌はもちろんだけど、優しいところも、ちょっと小悪魔なところも、おれを子ども扱いするところも、子ども扱いするくせにおれが推すとたじたじになるところも、可愛くて好き。後は…」
「…ふふ、愛されてるね」
指折り好きなところを数えていれば楽しそうな声が聞こえた。
振り返ればご機嫌なカイコさんと…。
「兄さん?!」
「…レン」
曖昧な表情の兄さんが笑みを浮かべる。
「もう、恥ずかしいなぁ…」
「だって、好きなんだから仕方ないだろ」
駆け寄ってその手を引いた。
わ、と驚いた兄さんにおれは囁く。
「…愛してるよ!兄さん」



貴方の誕生日に、両手溢れんばかりの愛を、言葉に!!!


(返事はその頬の紅さが語って)



「いいなぁ。…愛されてるね、カイトさん」
「いやぁ、カイコちゃんも存分に愛されてると思うなぁ」
「…私も、それには同意いたしますわ」

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