しほはるワンライ/逆転・鬼役

「…節分の鬼役?」
「そう。…ちょっと本気出しすぎって言われちゃって」
聞き返す志歩に遥がしょんと落ち込んだように言う。
彼女が言うのは以前の配信で豆まきをやった時のそれだろう。
確かに姉に見せてもらった遥は本気だったが…。
「…でも、本気じゃないと面白くないと思う」
「!日野森さんもそう思う?!」
ぱあっと遥が表情を耀かせた。
どうやら共感が得られたことが嬉しかったらしい。
「やっぱり、何事も本気で行かないとね」
「それは分かるけど…。それに、本気の桐谷さんでも好評だったんでしょ?」
「それは、勿論」
首を傾げる志歩に、遥は迷い無く頷いた。
彼女たちのグループが炎上したとは聞いたことないし、寧ろ好意的に受け止められている。
今回も、「遥ちゃんは何事にもストイックだなぁ」とか、「本気の遥ちゃん素敵!」とかいうコメントが並んでいた気がしたが…間違いではなかったようだ。
「なら良いんじゃない?みんな楽しかったようでみたいだし」 
笑いながら志歩はそれとも、と言葉を紡ぐ。
彼女の綺麗な目が大きく見開かれた。
「逆転されたかった、とか?」
「…まさか」
ふふ、と彼女が強気に笑う。
「負けるのが必須な鬼だからって手加減はしないよ?」
「…流石桐谷さん」
存外負けず嫌いな遥に、志歩も笑みを返した。
綺麗な彼女はそれだけではないことを、知っている!




「…Leo/needとMOREMOREJUMP!との豆まき勝負とか面白いかも…?」
「…面白いかもしれないけどやめてね、うち、そこまでガチ勢いないから」
「?日野森さんがいるでしょう?」
「…勘弁。桐谷さんとはギスギスしたくないからね」

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