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鬱的花言葉で1日1題4章・
C太×A弥に相応しい花は『向日葵(私は貴方だけを見つめています・高慢)』か『竜胆(悲しむ貴方が好き)』です。
鬱的花言葉で1日1題4章・レンカイ
イレイザー×ローザ・ブルーに相応しい花は『赤の鳳仙花(私に触れないで)』か『黒百合(呪い・恋)』です。
鬱的花言葉で1日1題4章・がくキヨ
がくぽ×キヨテル(ガラクトース×キーフェル)に相応しい花は『トリカブト(人間嫌い・刑罰・敵意)』か『エンドウ(永遠の悲しみ)』です。
鬱的花言葉で1日1題4章・七陽
七陽に相応しい花は『ガーベラ(悲しみ)』か『アリウム(無限の悲しみ)』です。
鬱的花言葉で1日1題4章・岩坂
岩坂に相応しい花は『日本スイセン(愚かさ・偽りの愛)』か『ムスカリ(絶望・失意)』です。
candyAliceとchocolateAliceの裏話とか。
ジョチェルちゃん可愛いっすね!!!! chocolateAliceはジョシュア君視点のバレンタイン、 candyAliceはチェルシーたん視点のホワイトディですね。 どっちもステラちゃんがいっぱい出てきますけど書きやすいのはレティちゃんです(笑) 8歳と7歳という年齢なので難しい言葉を使わないように頑張りました・・・。 後ひらがな!! チェルシーたんはあれはあれであの後悩んだりしそうですけどね、「あれ?じゃあなんでさけられてたんだろ?」って。 ジョシュアくんも出ていった後にもだもだすればいいよ!!
狼少年と赤色少女〜少年視点(Alice mare・ジョシュア×チェルシー/チェシャ猫ルートその後/ネタバレ注意
長い夢を見ていた気がする。 なんだったっけ、と少年はしばらく考えていたけれど、やがてそれを放棄した。 長々と考えるのは嫌いだ。 起き上がって帽子を深くかぶり直す。 そこでようやっとほっと息を吐き出した。 やはり帽子がある方が安心する。 「・・・あれ」 ベッドから出て、部屋の扉を開けたところでジョシュアははたと止まった。 廊下が不自然な程に真っ暗だったのである。 まだ夜中なのかもしれないな、なんて思いながらジョシュアは自分を納得させた。 それなら隣から音が聴こえないのも不思議じゃない。 「・・・やっぱり」 試しに一番端のアレンの扉を開けようとしたがガチャガチャと音を立てるだけで開きはしなかった。 それ以上やると誰かが起きてきそうで、ジョシュアはノブから手を離す。 そも、無理矢理扉を開けようとしてはいけないと言われたではないか。 「あれ?誰に言われたんだっけ」 ふと頭をよぎったそれにジョシュアは首を傾げる。 少し上を向いて思案し、まあいいかとその場から踵を返した。 多分、そういうことを言うのはリックだろう。 「・・・。いないだろうな・・・」 そういえば、とジョシュアは嫌な表情を作った。 彼は急に背後にいることが多い、と恐る恐る後ろを振り返る。 そこには変わらず暗闇が広がっていて少しほっとした。 リックの事は決して嫌いではないけれど、ああも急に出てくると吃驚するのでやめてほしい。 「えっと、なんだっけ」 違うこれじゃない、とジョシュアは中断された思考に頭を戻した。 先生に言われた覚えはなかったし、アレンは・・・。 そこまで考えて、あれ、と思う。 鍵のかかった部屋の主、アレンとは先程まで一緒ではなかったか。 「・・・て」 思考を巡らせた途端にその場所にズキリと痛みが走り、まあいいか、とそれを無理矢理停止した。 恐らく、寝る前に話したからそう感じただけだと自分を納得させて。 「・・・ん?」 部屋に戻ろうとしたジョシュアは一つの扉の前で足を止める。 自分の隣の部屋、赤いフードが似合う少女の部屋の戸がキィと音を立てた。 そっと覗き見ると、少女はそこにはおらず、ただ無数のくまのぬいぐるみ・・・所謂テディベアというやつで・・・が転がっているだけだった。 ところで少女は何処に行ったのだろう。 ジョシュアの疑問に応えるように、ぬいぐるみの冷たい目が見返す。 もちろん気のせいだろうがぬいぐるみたちに責められているようで、ジョシュアは吐き気を覚えた。 そういえば少し前に何故こんなにたくさんぬいぐるみがいるのかと聞いたことがあったっけ。 その質問に困ったように「さみしいからかなぁ」と笑みを見せていた少女を思い出す。 自分には常に人が近くにいたからその気持ちはわからないけれど。 「・・・?」 ベッドの上、クローゼットの近くにいるぬいぐるみが動いた気がしてジョシュアは首を傾げる。 よく見ればそれは他とは違う、兎のぬいぐるみだった。 片耳が取れた、白とも呼べない汚らしい兎のぬいぐるみ。 「なんでこれだけ・・・?」 小さく呟いた途端だった。 ぬいぐるみの口元がその端を上げる。 まるで、にやりと笑うかの如く。 「・・・っ?!」 ゾッとして一歩下がった。 気持ちが悪い。 そう思うのに立ち去れないのは何故だろう。 不敵に笑ったかと思った兎のぬいぐるみはぴょこりと可愛らしく立ち上がり、一度ジョシュアの方を振り向いてから少女のクローゼットに飛び込んだ。 「・・・ま、て!」 はっと我に返ったジョシュアは殆ど無意識に手を伸ばす。 赤いフードの少女の行方はこれが知っているかもしれない、と。 兎が飛び込んでいった開けっぱなしのクローゼットに足を突っ込んだ。 途端、がくんと体が揺れる。 黒い、何もない世界へ引っ張られるように下へ。 落ちる、堕ちる墜ちるオチテイク。 「・・・っつー・・・」 鈍い音と伝わる痛みに、ジョシュアは自分が尻餅をついた事を知った。 どうやら此処が最下層らしい。 自分さえ見えない、真っ暗闇が広がるそこから光を見つけようと目を凝らした。 「ごきげんよう、アリス」 「?!」 上から降ってきた言葉に勢いよく振り返る。 見上げると大きな時計を胸からぶら下げた、先程の兎のぬいぐるみがいた。 「ハジメマシテ・・・ではないのでしたっけ?まあいいです。ようこそ、アリス」 「・・・。ぼく、アリスって名前じゃないんだけど」 「いえいえ、あなたはアリスですよ」 顔を顰めると機嫌よさそうに片方の耳をひょこひょこと動かす。 「ぼくの事はシロウサギとでも呼んでください」 タップを踏むようにぴょこんと近づいてくる兎に、ジョシュアは思わず距離をとった。 「おや。この姿はお気に召さないですか」 「・・・。・・・この姿っていうか」 小さな声で言うジョシュアに兎はなるほどと呟いてぴょいと跳ねる。 「ではこれはどうです?」 「?!」 ぬいぐるみから人間の男に変化した『ウサギ』にジョシュアは目を見開いた。 「この姿は、覚えているでしょう?」 にこりと男が笑う。 しかし、ジョシュアはこんな男見たことがなかった。 固まっていると、おや、と兎が意外そうな表情を浮かべる。 「なるほど、まあ趣味が悪い」 「は・・・?」 「いえ、こちらの話です。そうですね、アリス。初めましてついでに音偽話を聴いていきませんか?」 少し考えていた兎はジョシュアの小さな声ににっこりと笑い、答えを待たずに語り出した。 「昔々、在るところに一人の少女がいました。少女はとても臆病でいつも赤い頭巾で顔を隠していました。人の目を見なくてもすむように」 愉しそうに兎が語る。 「赤い頭巾を被った少女・・・赤ずきんと呼ばれた少女はある時周りの大人たちとの約束を破ってしまいました」 楽しそうに兎が騙る。 「猫の言葉を聴いてはいけないよ。聞いたら最後、君は戻れなくなってしまう。・・・その言葉を。少女は優しかったのです。話を聞くくらいなら構わないと思ったのでしょう。少女は自分の意思で約束を破ってしまったのです」 くすくすと兎が笑った。 物語が喜劇であるように。 「約束は破るためにあるのではなく、守るためにあるのをご存じですか?約束というのは秩序です。秩序を乱してしまった者はそれなりの罪を背負うことになります。当然でしょう?自ら罠にかかりにいった獲物は喰われるのがオチなのですよ」 兎が吟うように言った。 もう、聴きたくない・・・のに。 「嗚呼、可哀想な可愛い赤ずきん!彼女は猫の巧みな罠に巣食われてしまった」 にこりと笑った兎に、ジョシュアは変なの、と思う。 話を聞いてあげたかっただけの彼女が何故罰を受けなければならないのだろうか。 「おや、ぼくの話は面白くありませんでしたか?」 ジョシュアの表情から何を感じたのか、兎が笑みを浮かべた。 では。 兎が続ける。 恰かも用意されたテンプレート通りに。 猫に拐かされた可愛そうな赤ずきんを救ってあげてくれませんか。 兎が笑う。 変なの、もう一度そう思いながらジョシュアは「いいけど」と返した。 「ありがとうございます。よければどうぞ」 兎が笑みを浮かべながら、何かを手渡してくる。 手に握らされたそれを確認しようとする前に、兎がああほら、と指を暗闇の方へ向けた。 「早くしないと大切なものが壊れてしまいますよ?」 「え」 くすくすと笑う兎が指さす方を見る。 「・・・チェルシー・・・、と・・・アレ、ン・・・?」 暗い暗い、何も見えない空間のその先に、へたり込んだ少女に手を伸ばす少年の姿があった。 自分がよく知っている二人じゃないか、と目を凝らし、違和感を覚える。 金髪の少年、アレンは、あんなツギハギの服を着ていただろうか。 そこまで思った途端、兎の言葉がリフレインした。 「そういう、ことか・・・っ!」 睨む少年に「間に合うといいですね」と嗤う兎。 ふざけるな、とジョシュアは走り出す。 「チェルシー!!!」 「!ジョシュアくん・・・?!」 少女の名を叫ぶと不思議そうな表情をした彼女がこちらを見た。 よかった、間に合った。 「そいつはアレンじゃない、だまされるな!」 怒鳴るとチェルシーはびくりと肩を震わせる。 根拠はなかった。 でも、あれはアレンじゃない。 優しくて賢い、アレンじゃ、ない。 「なんだ。なんだなんだ。気付いちゃったってわけ?」 くすりとアレンが笑った。 ああ、違う。 アレンはこんな笑い方しない。 「気付かなきゃ幸せだったのにな。アリスも、アリスも!」 「っ、やメろよ!!」 「気が付くから傷付くのさ。両手で覆っていれば今のままでいられたのに!」 けたけたと笑うアレンの偽者に声を荒げた。 脅すように手の中のソレを掲げる。 「いいか。チェルシーに近付くな」 「近付く?先に触れたのはアリスの方さ。棘があるのも全部知ってて手を伸ばした。そうだろう?」 にやりとアレンの顔した誰かが笑った。 兎から手渡されたソレを握りしめる。 「無闇に触るなって言われなかったかい?アリス」 不自然に口の端を持ち上げて徐に偽者が少女に手を伸ばした。 何かが光る。 とっさに、身体が動いた。 「やメろ!!!!!!」 瞬間、ジョシュアの身体に衝撃が加わる。 痛みはなかった。 あれ、と思う間に視界が傾いていく。
・・・何故、セカイは急に手のひらを返したのだろう?
「いっ・・・いやぁああああ!!!!」 遠くで少女の声が聞こえた。 嗚呼、彼女が怖がってる。 「ジョシュア、くん?」 「チェル、シー?」 震える声の彼女に、無意識の内にジョシュアは微笑んだ。 「・・・だいじょうぶ」 手を伸ばす。 「・・・だいじょうぶだよ」 届かない。 「・・・ぼくは、だいじょうぶだから」 ジョシュアが必死に言っても、チェルシーには届かない。 ・・・自分を見ない彼女には。 どうして? どうしてみてくれないの。 「・・・アリスがアリスを見たところで貴方は掬われないのに」 誰かがくすりと笑う。 刹那、少女のメが少年の方を見た。 少年も少女を視た。 絶望を映した彼女のメ。 どこを見ているのかわからない、光を写さないメ。 ・・・あの時の、父親が死んだと解った日の母親と同じ、目。 嗚呼、自分を見て、と願った目は自分を壊したあの人と同じ目だった。 その事実はジョシュアを壊すのに充分で。 きっとチェルシーも自分を見てくれない。 彼女も自分の話を聞いてくれない。 ねぇ、チェルシー。 ・・・きみも、ぼくを、ウソツキと嘲笑うんだろ? 「みるなっ!!!!!!」 頭を抱えて叫ぶ。 堪えられなかった。 彼女が母親と同じメで自分を見ることに。 彼女まで、自分を視てくれないという事実に。 ふと、彼女のメに光が戻る。 「・・・チェルシー?」 漏れた呟きに、少女は応えない。 持ち上げた白い手に握られた何かが光った。 動きたいのに動かない。 ・・・ねえ、何をするの。 言いたいのに言えない。
そうして彼女は微笑んで。
「やめろぉお!!!!!!!」 叫ぶ、ジョシュアの手は届かない。 チェルシーは、彼女は己のメを○○た。 少女は自ら、現実を魅るのをやめたのだ。
どうして。 なんで。 ・・・ぼくは、だいじょうぶだって、言ったのに。
「おや。おやおや。酷い顔ですね?」 見下ろしてくすくすと笑ったのはあの兎だった。 「語るのは案内人の役割ですからね。その中で騙るのはわたしの自由でしょう?そも、私がいなければ貴方は困るはずですよ」 兎が言う。 その前で偽者のアレンが笑った。 「嗚呼、騙るのはアリスの方がお上手でしたっけ!ファンタジスタストーリーテラーの如く、人を騙すんですからね」 煩い、五月蝿いウルサイうるさい。 「言わなきゃよかった?聞かなきゃよかった?見なきゃよかった?残念、カミサマはそんな都合良く動いちゃくれませんよ」 兎は独りで演じ説く。 「零れた水は元には戻りません。過ぎた時間は返ってや来ません。死んだ人間は生き返りません。・・・選んだルートを取り消すことは不可能なのですよ。それが例えバッドエンドだとしてもね!」 至極楽しそうに、何も言わないジョシュアに向かって言葉を重ねる兎。 「ねぇ、アリス。あなたは本当に現実とやらに戻ってきたと、そう思ってるんですか?絶望しか残っていない、現実に?」 「嘘を吐いた貴方と約束を破った彼女。セカイから淘汰されるのはどちらでしょうね」 「御都合主義の幸福終幕なんて誰が面白いんですか?綺麗なだけのお伽噺が赦されるとでも?」 「ああ、アリス。貴方は少し遅かったようです。彼女は救う前に巣食われてしまった。・・・貴方がもう誰にも掬い上げられないように」 囁く声が遠くなる。 無意識のうちに少女の手に触れた。 つめたいな、と思う。 「オオカミさんは、しななきゃいけないの?」 「ちがうよ。オオカミはただ、はなしをきいてほしかっただけだ。・・・それでしんでしまったとしても、はなしをきかないほうがわるい」 「そう・・・そうだよね」 静かな声に、チェルシーは、と少女の名前を紡いだ。 震えて、いなかっただろうか。 「オオカミのはなしをきいてくれる?」 その問いにこくりと頷いて恐らく彼女は微笑んだ。 「てを、はなさないでね、ジョシュアくん」 チェルシーの声にジョシュアは頷く。 二人なら大丈夫。 そう言い聞かせて少年もメを綴じた。 「忌しい夢の原料は何かを知っていますか?優しい嘘、ですよ」 暗いセカイに響く声。 少年の意識はふつりと途切れる。
「ぼくの中に堕ちて来るなら歓迎しましょう、ねえジョシュア。・・・セカイにようこそ!!」
長い夢を見ていた気がする。 どんなユメかは忘れてしまったけれど。 だって、ねえ。 少年はもう醒めないのだからー・・・。
狼少年と赤色少女〜少女視点(Alice mare・ジョシュア×チェルシー/チェシャ猫ルートその後/ネタバレ注意
長い夢を見ていた気がする。 どんなユメだったっけ、と少女は小さく首を傾げた。 確か誰かと一緒に花占いをして、少し気味の悪い猫に出会って、それから。 そこまで思い出してチェルシーは小さく身を震わせた。 何かとても嫌なものを見た気がする。 考えれば考えるほどに頭がぐるぐるして、チェルシーはその行為を一旦やめた。 ベッドから出るとひやりとした冷たさが床から裸足の足を通して伝わる。 これはユメではないのだと少しだけ安心した。 「・・・みんなは?」 ふと、どの部屋からも声が聞こえないことに気付き、チェルシーは再び首を傾ける。 自身の部屋から出て、隣の部屋をノックした。 「レティちゃん、リックくん・・・いる?」 声をかけても中からは声は返ってこず、ほんの少し不安感を覚える。 悪いことをしてることをするわけじゃないし、と、チェルシーはそっと中を覗きこんだ。 もしかすれば寝ているのかもしれない。 「・・・あれ?」 予想に反して彼女らは部屋にはいなかった。 遊びに行ったのかな、とチェルシーは扉を閉める。 勉強が嫌いなレティのことだから部屋にいなくても不思議じゃないけれど、とチェルシーはクスリと笑った。 「ジョシュアくん」 もう片方隣の部屋の主にも声をかけ、声が返ってこないことを確認してからそっと中を見る。 異性の部屋を見るのは抵抗が無い訳じゃなかったけれど、不安感には抗えなかった。 「・・・いない、の?」 彼の部屋もがらんとしており、チェルシーは表情を曇らせて扉を閉める。 もしかすると、レティたちと共に遊びに行ってしまったのかも、とチェルシーは考えることにした。 また先生にイタズラするために虫を集めているのだろうか。 チェルシーは虫が怖いので、凄いなぁと純粋に思う。 「・・・ステラ、ちゃん?」 その隣、大人びた少女の部屋も控え目にノックしてからひょこりと顔を覗かせる。 「・・・え?」 しかし彼女もそこにはいなかった。 ステラはあまり外遊びはしたがらないから、部屋にいると思ったのだけど。 「・・・」 流石におかしいかも、とチェルシーはそこから出て一番端の部屋の扉をノックした。 「アレン、くん」 覗きこんでも彼はいない。 少しだけクローゼットが開いているのが気になった。 そういえばユメの中で一緒にいたのは彼だったのではなかっただろうか。 「・・・先生、は?」 それについて深く考える前に、大人にすがろうとチェルシーは思い立つ。 彼ならこの不安感を何とかしてくれるだろう。 「・・・ひっ」 玄関ホールに出た途端、チェルシーは言いようもない不快感に足を竦ませた。 気持ちが、わるい。 「い、いや・・・!」 嫌いな虫がいるわけでもなし、何がどうなのか分からないけれど、とにかく嫌だった。 縺れそうになる足を必死で動かす。 ノックも忘れてその部屋に飛び込んだ。 「・・・せん、先生・・・!」 息も絶え絶えに部屋を見渡す。 いない。 夜中だって優しく出迎えてくれたはずの彼が、いない。 ぞわりと背筋が粟立った。 「どうして・・・?!」 踵を返して二階に上がる。 図書室にも、倉庫にも、誰もいなかった。 ついでに一階の食堂やキッチン、浴室も見れることが出来る部屋は全て見て回ったけれど誰もいなかった。 がらんとした部屋はあまりにも怖い。 自室に逃げ帰ってテディベアをぎゅっと抱きしめる。 しばらくそうしていたところでいくらか気分が落ち着いた。 そうだ、中庭にいるのかも、とチェルシーはそこを出る。 「え?」 突如聞こえた、なぁん、と言う声に振り返れば金色の猫がアレンの部屋の前にいた。 猫はもう一度鳴いてからするりとアレンの部屋に入っていく。 「ま、まって!」 慌ててチェルシーは猫を追いかけて部屋に入った。 不自然に開いたクローゼットの前で猫が佇んでいる。 ここに来ればもう帰れないぞ、というように。 じゃあどうすればいいの、とチェルシーは途方に暮れた。 クローゼットの前まで行ってへたりこむ。 おいで、と誰かの声がした。 顔を上げて、震える手で取っ手を掴む。 ふわりと体が浮いた・・・気がした。 恐らくは気のせいだろう。 現実的に考えたら有り得ない。 だってここはユメじゃないもの。 ・・・じゃあこの景色は何? 自問自答をしてからチェルシーは立ち上がる。 何も見えない場所だった。 金の猫も、クローゼットも、何も。 「・・・ねこ、さん」 そっと呼びかけるがもちろん返事はない。 下手に動き回れば迷子になりそうで怖かった。 迷子も何も足がすくんで動けなかったのだけれど。 辺りを見回してスカートをぎゅっと握る。 ぽたりと涙がこぼれ落ちてからはもうダメだった。 抑えていた感情が嗚咽となって溢れ出る。 怖い、と吐き出した小さな少女はもう限界だった。 「・・・チェルシー?」 かけられた声にはっと顔を上げる。 「・・・アレン、くん」 金のくせっ毛に綺麗な翠の瞳。 間違いなくアレンだ。 「どうしたの?」 「アレンくん、わたし、わたしね・・・!」 近づいてくる彼にチェルシーは言葉を紡ぐ。 少しだけ表情を曇らせたようにみえた彼が笑った。 「大丈夫、大丈夫、ダイジョウブ。ほら?」 彼なりに気を使ってくれたのだろう、その優しさが嬉しい。 先生みたい、とチェルシーも小さく微笑んだ。 手を差し出す彼に手を伸ばす。
でも、あれ、彼はこんなツギハギの服を着ていたっけ。
「チェルシー!!!」 「!ジョシュアくん・・・?!」 こてりと首を傾げたチェルシーに聞こえてきたのは鋭く自分を呼ぶ声。 「そいつはアレンじゃない、だまされるな!」 怒鳴る少年にチェルシーはびくりと肩を震わせる。 少年、ジョシュアは確かに色んな嘘をつくけれど、そのどれとも違った。 何より彼の表情が真剣で、伸ばしかけた手が落ちる。 「なんだ。なんだなんだ。気付いちゃったってわけ?」 くすりとアレンが笑った。 「気付かなきゃ幸せだったのにな。アリスも、アリスも!」 「っ、やメろよ!!」 「気が付くから傷付くのさ。両手で覆っていれば今のままでいられたのに!」 激昂する帽子をかぶった少年に対して愉快そうに笑う、この人は誰? 「いいか。チェルシーに近付くな」 「近付く?先に触れたのはアリスの方さ。棘があるのも全部知ってて手を伸ばした。そうだろう?」 にやりとアレンの顔した誰かが笑った。 ぞっとして思わず後ずさる。 「無闇に触るなって言われなかったかい?アリス」 不自然に口の端を持ち上げてチェルシーに手を伸ばしてきた。 何かが光る。 身体は、動かなかった。 「やメろ!!!!!!」 聞き覚えのある音が聞こえる。 彼の身体が傾ぐ。 とさり、と彼の帽子が落ちた。 赤、朱、緋、紅、あか。 目の前に広がる、アカ。 ぴしゃりと少女の白い肌にあかいろが付いた。
オオカミがおばあさんを●●た。 おとうさんがオオカミを●●た。 じゃあ、今は? 今は 誰が
アカイロになってしまったの?
「いっ・・・いやぁああああ!!!!」
よろけた弾みで地に足をつける。 どうして。 頭を抱えて何度も問いかけた。 震えが止まらない。 これは夢なの、現なの。 チェルシーは暗闇に質問う。 「アリスはこれが都合の悪いユメだと思うかい?それともおかしな白昼夢?ああ、どちらもユメさ。アリスがそう言うならね!」 甘い声だった。 これをユメだとすれば、きっと醒めてくれる。 いつも通り、レティがいてリックがいてステラがいてアレンがいて先生がいて、それから。 「ジョシュア、くん?」 「チェル、シー?」 あかいろじゃない、彼が、蒼の少年がいるはずだ。 そう、こんな風に。 ・・・こんな風ってなに? どうして彼はあかをまとっているの。 「・・・ぁ・・・あ・・・!」 直視した現実はチェルシーの中の何かを壊すのに充分だった。 いやいやと首を振る。 バラバラになってしまう。 彼が、あの時のオオカミのように。 あの時、わたしはどうしたんだっけ。 わたしの所為であかいろに染まったオオカミを、わたしはどうしたの? ガタガタと震えながら終いこんだ筈の暗い過去を掘り起こす。 思い出せばきっと戻れない。 ・・・それでも。 「・・・知りたいかい?アリス」 アレンに良く似た誰かが笑った。 あかいろの少年から目をそらして少女は頷く。 「逃げたのさ。現実から目をそらして!全部責任を誰かに押し付けて!」 「!」 「何を驚く?今もそうしているだろう?アリスの常套手段だ。違うかい?」 「・・・い、や」 「さあ、観てご覧よ。目の前のゲンジツとやらをね。実に愉快じゃあないか!」 アレンに良く似た誰かが指を差した。 あかに塗れた少年が、チェルシーに向かって無理した笑みを向ける。 ぎゅっと目を閉じても瞼にの裏にその光景が浮かんだ。 やめて、もう・・・ミタクナイノ。 「ユメの国から帰ったアリスはゲンジツの絶望を知るのさ。そうしてユメに引きこもる!自分で選んだ選択肢をこれじゃないと投げつけてね。・・・違うかい?」 にやにやと目の前の『それ』が金髪を揺らして笑う。 この声を聴きたくない。 両手で耳をふさぐ。 声は一瞬だけ薄くなり、代わりに自分の声が響いてきた。 どうしてこんなことになってしまったの。 ねえ、どうして。 選んだ花が悪かったの? 花占いの結果が不幸だったから? ・・・そもそも花占いなんてするから・・・? 「みるなっ!!!!!!」 ぐるぐる巡る意識の中で声がした。 ああ、そうか。 チェルシーはぼんやりと思う。 メを、閉じてしまえばいいんだ。 そうすれば何も見えないから。 もう何も、見ずにすむから。 チェルシーはメをとじる。 聞こえてきた悲鳴のような何かを、なかったことにして。 おやおや、と嘲笑を含んだ声が聞こえた、気がした。 「自分の都合の悪いことはひた隠しってわけ?傍観者が最も悪いことを知ってるんだ、なぁアリス!」 けたけたと誰かが嗤う。 「俺は騙るぜ、語り部がいなきゃ困るだろ?そもそも私がいなきゃアリスだって困るはずさ」 決めつける様に、なあそうだろ?とツギハギのそれが哂った。 「眠る前に物騙りを聞かせてあげよう。・・・むかーしむかしあるところに一人の少年がいたのさ。少年はある時嘘をついた。兎が喋ったんだよ、とでも言ったのかな。周りの人間はまたかと相手にしなかった。少年の嘘は慣れっこだったからね。少年は誰からも相手にされなくなった」 至極楽しそうに誰かが語る。 「少年は誰かに話を聞いてほしくて嘘を吐き続けた。そのうち、少年にも何が真で何が嘘か分からなくなっていったのさ。少年は言ったよ、兎を捕まえてね。"きみが喋ればぼくはウソツキなんて言われずに済んだのに”ああ全く責任転嫁も甚だしい!!」 聴きたくもない、雑音のような街頭演説よろしくそれは噺続けた。 物語はもっともっとみんなが幸せでなければならないのに。 花は綺麗であって、水は澄んで、みんな笑っていて。 こんな・・・こんな幸せが見えない末路なんて、聴きたくない。 そう思うのにアレンに良く似た誰かは騙るのをやめなかった。 まるでこれが少年少女の末路だとでもいう様に。 「そうして少年はどうなったと思う?コロされたのさ!少女に嘘を吐いた罪でね。少年は少女にぼくはオオカミですと言った。少女はオオカミは全員悪いのだからシンでと言った。ただ話を聞いてほしかっただけの少年は、少女に触れる事すらなく淘汰され見ていることも叶わなくなった。・・・素敵な話だろう?」 優しい笑みを浮かべるそれは、漸くアレンの風貌を見せた。 変なの。 混乱する頭にふっと浮かぶ、それ。 話くらい聞いてあげればいいのに。 「・・・やっぱり。君はこの物語を聞いて尚、結末を書き換えようとするだろうね。そのエピローグがメリーバットエンド一直線だとしても、君は進み続けるのかな?アリス」 「花占いの結果なんて、最初から分かっているだろうに!それでも確かめずにはいられないの?直視したって、なんのかんの言って誤魔化すくせにさ!」」 「君らは俺らを悪魔、なんて呼ぶけれどもね。私からすれば君らのほうがよっぽど悪魔のようだよ。誰かを巻き込んでまで悲劇を喜劇に変えようとするのだから!」 くすくすとセカイに広がる笑い声。 ふわりと手に誰が触れた。 あたたかいな、と思う。 「オオカミさんは、しななきゃいけないの?」 「ちがうよ。オオカミはただ、はなしをきいてほしかっただけだ。・・・それでしんでしまったとしても、はなしをきかないほうがわるい」 「そう・・・そうだよね」 「チェルシーは、オオカミのはなしをきいてくれる?」 優しい声だった。 チェルシーはこくりと頷いて微笑む。 見えなかったけれど、きっと彼も笑ったはずだ。 「てを、はなさないでね」 ジョシュアくん、と彼の名を呼ぶ。 彼が頷いたのが気配で分かった。 「優しい嘘が最終的にどうなるか知ってるかい?忌しい夢さ」 暗いセカイに響く声。 少女の意識はふつりと途切れる。
「堕ちておいで、チェルシー。僕の中にね。・・・セカイにようこそ!!」
長い夢を見ていた気がする。 どんなユメかは忘れてしまったけれど。 だって、ねえ。 少女はもう醒めないのだからー・・・。
明けましておめでとうございます
めもめも
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