司冬ワンライ/100回目の・記念日

「おめでとうございまーす!!!」
店の人に笑顔で言われて、二人でえ、と固まってしまった。
なんだろうと隣りに居た冬弥と顔を見合わせれば、どうやらこの店100人目の記念だったらしい。
出来たばかりという店だから、そういうこともあるだろうとは思ったが…まさか自分たちが選ばれるとは。
「こちら、記念の品になります」
渡されたのはキーホルダーだ。
小瓶に入ったビーズの星が踊っている。
お連れ様もどうぞ、と冬弥も渡されていた。
「ありがとうございます」
ふわ、と笑った冬弥がそれを見てにこにこしている。
それを見て、珍しいな、と司も笑った。
「そんなに100人目の記念が嬉しかったのか?」
「それもありますが…」
「?が?」
冬弥の言葉に司は首を傾げる。
柔らかい表情で小瓶を見つめた冬弥は司に向かって微笑んだ。
「司先輩と、二人で100人目を迎えられたことが嬉しくて」
「…冬弥」
「記念品も星で、司先輩を連想させてくれますので…きっと記念品を見る度に今日のことを思い出しますね」
嬉しそうに冬弥が言う。
思わずギュッと抱きしめた。
「わっ、司先輩?」
「…記念品を見て思い出すより先に、何度でも来よう。二人で、何度でも出かけようではないか!100回でも、200回目でも!」
少し離れてから司は真剣に言葉を紡ぐ。
それは、100回目もとうに超えた、愛の告白。
「愛する冬弥のためなら、どこへでも連れて行ってやるからな」
「…ありがとうございます、先輩。俺も、先輩とならどこへでも行けそうです」
目を細め、冬弥が髪を揺らす。
そんな冬弥に愛おしさが込み上げ、再び彼を抱きしめた。


100回目、なんて忘れるくらい二人で共に出かけよう

だって、彼といれば毎日が記念日なのだから!

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