司冬ワンライ・文字/声

「おお??」
下駄箱を開けると手紙が残されていた。
ラブレターか果たし状か。
なんて馬鹿なことを考えながら司はそれを手に取る。
画してそれは前者であったらしかった。
封筒の中からは『先日はありがとうございました』とキレイな字で書かれたメモと、冬弥が最近気に入っていると言っていたのど飴が入っている。
まあ律儀なものだと司は苦笑しながらカバンに仕舞った。
ついでにスマホを取り出す。
押し慣れた名前をタップし、耳に当てた。
数回のコールの後、『はい』という声が耳に届く。
「冬弥!今大丈夫だろうか?」
『今は白石のカフェでチームメンバーを待っていたところです』
「おお、そうか!では手短に」
カラカラと笑い、司はスマホを持ち替えた。
「手紙、ありがとうな。それからのど飴も。ショーの練習が終わったら頂くとしよう」
『…はい、ぜひ』
スマホからは冬弥の柔らかい声と、小さく笑う声が聞こえ、司は首を傾げる。
「?どうした?」
『…いえ…些細な事でも電話してくださる司先輩は、やはり優しいのだな、と』
ふわふわとした彼の声。
ああ、なんだ、と司も笑った。
「特に優しいわけではないぞ?」
『え?』
きょとんとする冬弥の声。
先程の文字を思い出しながら司は目を閉じた。


優しい彼の文字を見て


何だか彼の声が無性に聴きたくなった、なんて言ったら…冬弥はどんな声をしてくれるのだろう!!


(それが分かるのは、後数秒)

「…何、実は…」

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