司冬ワンライ・Wバースデー/両手いっぱいの

5月は誕生日が多い。
こないだは自分の誕生日だったし(1週前は妹である咲希の誕生日だった)、25日は……。


「そろそろ誕生日だな、冬弥!」
「…そうですね」
ふわりと彼が笑う。
良い笑顔をするようになった冬弥を、司は眩しくなって目を細めた。
代わりに、今年は何がほしい?なんて聞いてみる。
「…俺は、その……司先輩が下さるものなら、どんなものでも嬉しいです」
「…冬弥……!」
嬉しい言葉に司は胸がいっぱいになった。
可愛い事を言ってくれる彼に心を込めたものを贈りたいのに…何も思いつかない。
何とも歯痒かった。
「司先輩は、俺から何が欲しいですか?」
「そうさなぁ。オレも、冬弥から貰うものなら何でも…。…あ」
こてりと首を傾げる冬弥に、司は笑みを浮かべる。
司先輩?と言いかけた彼に…ぎゅっと抱き着いた。
「?!え、ええと…」
「両手いっぱいのオレをやる!だから、両手いっぱいの冬弥をオレにくれ!!」
「…!…はい。俺で、良ければ」
嬉しそうな声と、そっと回される腕。
その幸せな温もりに司も嬉しくなってぎゅう、と抱きしめた。


何たって今日は二人の誕生日の中間地点。

真ん中Wバースデー!!


「おにーちゃーん!とーやくーん!!…っと、お邪魔でしたかなー?」
「咲希さん?!!」
「おお、咲希!今は冬弥からプレゼントを貰い、プレゼントを与えていたところだぞ!」

name
email
url
comment