司冬ワンライ・魔法/クリエイティブ

冬弥が、みかんの皮アートとやらを見せてくれた。
「…ほう」
綺麗な手から紡がれる、様々な細工に司は見惚れた。
「まるで魔法のようだなぁ」
感心して言えば冬弥はわずかに微笑む。
「ありがとうございます。ですが、先輩の手も俺にとっては魔法のようです」
「む?そうなのか?」
冬弥のそれに首を傾げれば彼は微笑んで頷いた。
「いや、冬弥からそう言ってもらえると嬉しいものだな」
「…司先輩の生み出すショーは昔から俺に元気をくれます、から」
幸せそうに言う冬弥に、司も嬉しくなる。
幼い頃はあんなに怯えていた彼が、自分のショーで元気になってくれていたなんて。
ファンでいてくれているのは知っていたが、改めて面と向かって言われるとやはり嬉しかった。
「と、いうことはオレは魔法使いか?」
「…どう、でしょう」
司のそれに冬弥は首を傾げる。
ショーは魔法のようだが、司自身は魔法使いではないようだ。
「司先輩は、俺にとってスターですから…魔法使いかと言われると…」
「ふむ、なるほどなぁ…」
悩みながら言う冬弥に、司も納得する。
物語の魔法使いは後衛が多い…まあ魔法使いが主人公であるものも多いのだが…冬弥は司をそうではないと感じたのだろう。

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