ストギルジニギルコピー

今日はお祭りなんだって

そう誰かが言った。


「…ギルティ、起きて。ギルティ」
「…ん…ぅ…?」
ぼんやりと彼はその濡れた目を開く。
ほっとした顔を、ストレンジダークは見せた。
この少年もこんな優しい表情を見せるのだな、とジーニアスは思いながら「ずいぶんぐっすり眠っていましたね」と声をかける。
「…夢、見てた気がする」
「ほう。貴方でも夢を見るのですね」
「…どーいう意味だよ」
寝起きの声を出すギルティにそういえば彼は少しだけむっとしてみせた。
どうやらまだ頭が回転しきっていないようで反応は遅めだ。
「…ボクの夢?」
「誰が旧作の夢なんざみるんだよ、馬鹿じゃねえの」
素朴な疑問にギルティがあっさりと言う。
言葉に棘が戻ってきた。
悪い夢を見ていたわけではないらしい。
「…ギルティ、ホントそういうとこ」
「るせぇ。…で?なんで起こしたんだよ」
酷く呆れたようなストレンジダークにギルティは暴言を吐き捨ててから首を傾げた。
さらりと蒼い髪が揺れる。
せっかく寝てたのに、と言いたげな彼に、そうだった、とストレンジダークはそのほっそりとした手を引いた。
「行こう、ギルティ」
「…は?行こう、ってどこに」
「…。…今日は大切な日なんだそうですよ」
目を白黒させるギルティに小さく笑いながらジーニアスが言う。
「ストレンジダークさんがそういうものを大切にする方とは思いませんでした」
「ねえ、ジーニアス先生も馬鹿にしてるよね?ボクのこと」
「いいえ?私は褒めているのですよ」
「…なあ、さっきから何の話…」
楽しそうなジーニアスと少し不満げなストレンジダーク、その二人にギルティは戸惑うようにして問うた。
彼にしてみればそうだろう。
穏やかな夢を見ていたところ急に起こされて 何もわからずに、今まで監禁されていた場所から連れ出されようとしているのだから。
「お祭り」
二人の声が重なる。
え、とギルティの目が見開かれた。
「今日はギルティのためのお祭りなんだって」
「まあ…たまには穏やかなのも悪くはないでしょう」
ストレンジダークが年相応の顔をして笑う。
ジーニアスが優しい顔で目を細める。
それに、ギルティは「ま、たまにはな」と笑った。


有罪の黒猫は穏やかなお祭りの夢を魅る。


それはいつかの、穏やかな刻のユメに似て、いた。



「なあ、旧作。俺、かき氷食いたい」
「だから、旧作って呼ばないでってば。…そもそもあるのかな、かき氷」
「ギルティさん、貴方ブルーハワイ似合いそうですね」
「?どーいう意味…おいこらてめ、ジニ、ジーニアス。何悪りぃ顔してんだ」
「…いいえ?特に何も」
「…ジーニアス先生、意外と嘘つけないよね」
「ふふ。さあ…どうでしょうね?」

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