「…起きてください、ギルティさん」
「…うる、さい…。…っ?!!」
うっとうしそうに私の手を払おうとするギルティさんのドッグタグを引っ張った。
目を見開くギルティさんに顔を近づける。
「何故『あれ』について行ったのですか?」
「…にゃ、に…?」
困惑しきったように私を見上げるギルティさん。
黒い耳が不安そうに寝てしまっている。
…なるほど、分からないんですね?
なら分からせてあげましょう。
…勿論、貴方の、身体で…ね。
「私が知らないとでも?貴方が『あれ』について行った事を」
「…あ、れ…?」
「そう、あれ」
「…。にゃにをいっているのか、りかいできにゃい。あたまがおかしくにゃったのか?このやぶいしゃ」
馬鹿にしたように…まるで強がるようにギルティさんがせせら笑う。
…そうですか。
そんな態度、取るんですね。
まあギルティさんが素直に謝るとも思っていませんが。
ですが…そうですね。
貴方がそんな態度を取るのであれば私にも考えがありますよ。
「…おろせ、にゃにする!!!!」
ドッグタグから手を離して抱き上げる。
「何が欲しかったんですか?ねえ、ギルティさん」
優しく囁きながら私はギルティさんの服を捲りあげ、手を振りかぶった。
「…にゃ、んの…はにゃ…あ、ぁああああっ?!!!!!」
しらばくれようとするギルティさんのお尻に向かって手を振り下ろす。
パァン、と激しい音と共にギルティさんの悲鳴が響いた。
「今なら許してあげますよ。さあ…言って」
「し、らな…。…っ、は、ぁああっ!!!」
「嘘は吐いちゃいけない。…そう言いましたよね?」
「…あ…きいて、にゃ…うあぁあ!」
パン、とギルティさんが否定する度に叩く。
長い尻尾の毛が逆立った。
振り返って、ギッと鋭い目で私を睨むギルティさん。
「…くず、こ、の…しね…っ!!」
「…どの口が言ってるんですか、ね!」
相変らずだと笑いながら私は手を振るった。
小気味いい音が部屋に響く。
数度叩いたところでギルティさんの小さな身体から力が抜けた。
ベッドの上に下ろして潤んだ瞳で悔しそうに見るギルティさんの顎を持ち上げて目線を合わせる。
「…う…は…っ」
ギルティさんの薄い肩がびくりと揺れた。
「食べ物に釣られたんですか?ギルティさん」
「…ひっ!」
黒い耳を噛む。
体を大きく揺らしたギルティさんは止めろ嫌だとうわ言の様に呟いた。
「アイスが食べたいならそう言えばいいでしょう」
「…っ、き…さま、にゃにす…っ!!」
腰を上げさせるとぞっとしたようにギルティさんが私を見上げる。
力が抜けきったギルティさんはもう抵抗する余裕もないみたいだ。
それでも虚勢で私を罵倒し続けていましたが。
ねぇ、ギルティさん。
私が誰だか、まだ理解していないんですか?
貴方の完全なる味方だとでも?
ギルティさんは私のモノです。
それが分からないんなら…どうなるか、教えてあげなくちゃいけない。

そうでしょう?

ねぇ、私の可愛い飼い猫さん。

「『アイス』、たくさん食べさせてあげますね」
私は笑いながら悲痛な声を上げるギルティさんの口に1本、ひくりと戦慄くそこを指で押し開いて『冷えたバイブ』を2本押し当てた。

Rose Menuett  桜井えさと

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