司冬ワンライ/七草粥・健康

せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ
これぞ七草


「…よし、材料は揃ったな!」
「はい!」
「では、飛び切りの七草粥を作ろうではないか!!」
司が指揮を取れば、隣にいた冬弥が嬉しそうに頷いた。
「…粥、ということは水と米を共に炊けば良いと思うのだが…」
「恐らくは、そうですね…?」
「だが、味がせんのはなぁ…。咲希も粥はあまり好きではないし、せめて美味しく食べてほしいだろう?」
うぅん、と悩む司に冬弥が優しく微笑む。
妹である咲希は小さい頃から病弱で、そうなれば食事は粥がほぼだったのだ。
それを思い出すからだろう、あまり粥は好きではないようだった。
「…よし、冬弥は中華系か和風かどちらが良い?」
「…そう、ですね。七草に合うのは和風でしょうか」
「ふむ。では和風にするか」
そう言いながら、顆粒出汁とめんつゆを取り出す。
あまり入れ過ぎるのは失敗の元だが…少しなら良いだろう。
「冬弥、まな板を取ってくれ」
「はい」
粥を作る準備を二人で着々と揃えていく。
冬弥も去年色々とやってきたからだろう、楽しそうに調理を進めていった。
「…ん、冬弥。お前も味見してくれ」
「…!はい」
ほら、と少し掬ってからスプーンを冬弥の方に差し出す。
小さく口を開けた冬弥がそれを口に含もうとし…。
「っ!」
「どうした?!大丈夫か?」
びくっと体を跳ねさせる。
慌ててそう聞いて口を開けさせた。
「少し火傷をしたか…すまん」
「いっ、いえ…」
頬を染める冬弥に謝れば彼はパタパタと手を振る。
どうしたのかと問えば、小さな声で「…キス、されるかと思いました」と告げた。
目を丸くした司はふは、と笑う。
それから。
「流石に不意打ちではしないぞ?」
くしゃりと彼の頭を撫でる。
ますます顔を赤くする冬弥を、可愛いな、と思った。


きっとこの年も、健康で素晴らしい年になるだろう。

(愛おしい彼が、傍にいてくれるから!)

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