「しっかし、まさか冬弥がフォトコンテストに参加するとはな…」
セカイからの帰り道、彰人がスマホの画面を見ながら呟く。
「…そう、だろうか?」
「ああ。なんつーか…意外だった」
こてりと首を傾げる冬弥に、彰人は頷いた。
こはねに協力する形とはいえ、まさかメイクまでしてフォトコンテストに参加するとは思わなかったのである。
…まあ仲間思いで、最近は色んなことに挑戦したがっている冬弥だから、よく考えれば納得できるのだが。
「メイクもモデル役も、良い経験だった」
「お前がそう言える経験なら良かったよ」
微笑む冬弥に、彰人も息を吐き出す。 
彼が楽しそうにしているのは、チョコレートを貰う、という事実に優って嬉しい事実だ。
それを伝えてやれば、びっくりした顔をしてからふわりと微笑む。 
「…それは…彰人のお陰だ、と思う」
「…オレ?」
「ああ。お前の隣に立つには経験が足りないと常々思っていたからな」

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