類冬

今日は類の誕生日である。

可愛い後輩兼恋人の冬弥からも祝ってもらって幸せだった。

…のだけれど。



「…青柳くん、今なんて…?」
「…ええと」
キョトンとした類に冬弥は少し困った顔をした。
そうして。
「…俺と、逃避行していただけませんか?」
手を差し出して冬弥は言う。
…何故いきなりそんな事を。
「うーん…。理由を聞いても良いかい?」
首を傾げる類に冬弥はこくりと頷く。
「今日は先輩のお誕生日ですよね?」
「そうだね。青柳くんも祝ってくれたじゃないか」
「はい。…おめでとうございます」
「ふふ、ありがとう。何回言われても嬉しいものだねぇ」
にこにこと微笑む類に冬弥も目を細めた。
「それで?何故逃避行なんだい?」
「今現在、先輩も、俺も、夢を追うことが何よりも大切ですよね」
「うん?まあそうだね」
類は演出家の夢を、冬弥は伝説のイベントを開催するために、日々を邁進している。
何よりも大切にしているといっても過言ではなかろう。
「ですが、今日は先輩のお誕生日ですので…その、」

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