とうやの日

「」


「え?とーやくんを甘やかさせないようにしたい?」
話を聞いていた咲希がきょとんとする。
「…はい。いつもこの時期に司先輩や神代先輩、彰人に特別甘やかされるので回避したいんです」
キリッとした冬弥に、咲希がまた首を傾げた。
「でも甘やかされるって嫌なことじゃないんじゃあ…」
「…ねえ、私帰って良い?」
うんざりした顔で、咲希に無理やり連れて来られたらしい志歩が言う。
「だめだよ、しほちゃん!!!とーやくん、困ってるんだよ?!」
「いや、私だって困ってるけど」
「…すみません」
ぴょんぴょんと咲希が髪を揺らして志歩を揺さぶり、冬弥が申し訳なさそうに謝った。
「別に。……私は咲希に困ってるだけだから」
「しーほーちゃーん?」
もー!と彼女の体を揺さぶる咲希にくすくすと冬弥が笑う。
「…それで?甘やかされたくないって話だったけど…」
「はい。…3人に見つかるといつも甘やかされてしまって」
「…なら、反撃するのはどうかな?!」 
困った顔の冬弥の背後から声がし、振り返った。
「白石さん?!」
「あー!みずきちゃんだぁ!」
「…暁山、白石。どうしてここに」
「やほー!なんか、楽しそうな話してたからさぁ!」
「そうそう!」
楽しそうな杏と瑞希に、各々の反応を見せる。
それにわくわくした顔の杏が言い、瑞希がパチンとウインクした。
「甘やかされたくないんなら、甘やかされないように反撃しちゃえば良いんだよ!」


「…何でわたしまで……」
急に呼び出されたらしい寧々がげっそりした顔をする。
「いやぁ、天馬先輩も神代先輩もいるから、ちょっとこっちも対抗できる人数いるよねってなって!ごめんね?草薙さん」
「…まあ……別に良いけど」

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