|
ヒノシン
ドM発揮させるヒノキさんと引きながら天然S発揮させるシン兄の話
チヒシン
シン兄がチヒロに、猫好きなの?じゃあこれ…みたいな感じでポッケに入ってた猫のキーホルダーあげるやつ。
ChildredPierce (ケンシン)
じぃっと弟のシンヤがスマホをいじるケンヤを見つめる。 末の弟であるアンヤに比べて言葉は少ないタイプだが…何かあったろうか。 「…どうした?」 スマホを置き、優しく聞いてやれば「…それ」と小さく指を差す。 その先は、ピアスによって穴の開いた耳朶があった。 「うん?」 「…いたく、ないの?」 こてりと傾げられる首に合わせて綺麗な黒髪が揺れる。 隠れる耳はまだ綺麗なままで。 そのままで居てほしいな、とふと思った。 「…痛かったぜ?ふっとい針がバチン!!ってさあ…!」 低い声で言えばその表情が小さく曇る。 怯えたようにも見えるそれに思わず吹き出した。 「ジョーダンだって!ま、俺はそこまで痛くなかったぜ?」 「…そうなの?」 「言ってもまあ人によるけどなぁ」 カラカラと笑えばまたこちらを見つめてくる。 注がれる熱視線は、ケンヤの耳にあった。 「…何、開けてほしいのか?」 「…ふっ…」 綺麗な、シンヤの耳に手を伸ばす。 耳朶を指で擦ってやれば甘えたような声を出した。 「…シンヤ?」 「…。…ケン兄と、お揃いが…いい…」 とろりとした目でシンヤが言う。 可愛い事言うなぁ、と笑った。 「お前にはちょっと早いよ」 「…んぅ…」 すり、と耳朶を擦る。 「まだ子どもだろ?」 「…ケン兄とこんな事するのに?」 不満そうな顔は珍しいと思う程で。 言うようになったシンヤを引き寄せ、軽く口付けた。 「兄ちゃんに勝てない時点でまだまだ子どもなんだよ」 ニヤリと笑い、そう言ってやる。 年相応に頬を膨らすシンヤの頭を撫でた。 「なあ、まだ俺の可愛い弟でいてくれ、シンヤ」 「…」 不満を訴える赤い瞳に苦笑する。 こうなった時のシンヤは存外頑固なのをよく知っていた。 …そうして、この状態のシンヤに甘い自分も。 「…わーったよ」 「…わっ」 抱きしめ、すり、とまたシンヤの耳朶を擦る。 「俺が開けた歳になったらな」 「…本当に?」 「約束」 笑ってまた軽く口付けた。 ちゅ、という…部屋に響くリップ音。 「…ケン兄」 「ん?」 甘くとろけるシンヤの耳朶を擦る。 「…昼は、ケン兄の弟でいる、から……夜は…弟じゃなく、して」 柔らかい、弟の…シンヤの声が耳を擽った。 「…いつからこうなったんだろうなぁ、シンヤくんは」 「…?…ケン、に…?!」 ぽやりとしたシンヤを引き寄せ、深く深く口付ける。 「…お兄ちゃん煽ると痛い目に合うぞ?」 「…いい、よ」 笑うケンヤにシンヤも微笑んだ。 綺麗な黒髪が夜風に…靡く。 サイドテーブルに置かれた赤いピアスが…光った。
「シンヤくーん」 「…あ、はい」 呼ばれ、シンヤは振り向く。 さらりと揺れる髪が晒した耳に光る、あの日の赤。 ケンヤから受け継いだ赤を馴染ませるように耳朶を擦る。 ふわりと微笑んだシンヤは…呼ばれた方向に…駆け出した。
兄から…大切な人から受け継いだ赤と、時間と、愛を…抱き締めて。
「シンヤ君、よく耳を触ってるよね。癖?」 「…いえ、どちらかといえば…愛、ですかね」 (貴方が托した、大切なもの…その一部を抱いて俺は生きていく)
着衣カーセッなザクカイ
ハロウィンなので高校の制服着てください!ピロートーク ザクカイ
出しっぱなしにしていた水道の蛇口をきゅ、っと止め、ザクロははぁ、と溜息を吐き出した。 二人が着ていた制服を干し、お湯で湿らせたタオルを持ってザクロは部屋に戻る。 「…鬼ヶ崎」 「…ん、ぅ……」 その呼びかけに気怠げな声を上げるカイコクを見、何度目かの『やり過ぎた』が頭を過ぎった。 「…。…すまなかった」 「…まだ…気にして…んのかい?」 謝るザクロに、いつもの柔らかい声を掠れさせ、カイコクが笑む。 緩慢に起き上がって眼鏡を外し、机の上に置いた。 「…お前さんが…あそこまで盛り上がんのも…珍しいじゃねぇか」 「…う……」 小さく首を傾げるカイコクの身体を拭いてやろうとしていたザクロの手が止まる。 「?忍霧?」 不思議そうなカイコクのしなやかな身体にはあちらこちらに紅い華が舞っていた。 先程洗った制服はお互い酷い有様だったし、くったりと布団に投げ出されたカイコクは散々たる様相を呈していて。 それを見て初めて『やり過ぎた』と思ったのである。 ザクロがこの部屋に入ってから半日は経過しているのではなかろうか。 食事も取らずに何を、とも思う。 思うが、高校時代の制服を着たカイコクがあまりにも可愛かったから。 普段は見せない表情で、『ザクロくん』なんて呼ぶから。 すっかり止まらなくなってしまった。 「…すまない」 「…しーつーこーい」 何度目かの謝罪をするザクロにカイコクが小さく笑いその頬を引っ張る。 「ひゃひひゅゆ!」 「加減知らねぇな、とは思ったけど怒ってはねぇよ。…まあ、悪くはなかったし…な」 声を上げるザクロから手を離し、カイコクが笑った。 「…本当か」 「本当に嫌なら殴り飛ばしてるところでぇ」 「…物騒だな、貴様は」 「物騒はお互い様だろう」 クスクスとカイコクが笑い、ころんと寝転がる。 「…来な、忍霧」 両腕を広げて呼び寄せるから、ザクロは小さく溜息を吐き出してその身を任せた。 ぎゅっと抱きしめられ、トクトクという音が耳へダイレクトに響く。 「なぁ…何がそんなに良かったんでぇ?」 「…聞くのか、それを」 純粋な疑問たる言葉にザクロは少しだけ顔を赤く染めた。 自分がどうして興奮したか、など、しかもその相手に曝け出すことほど恥ずかしいのを目の前の男は知らないのだろうか。 「制服も…見慣れなくて新鮮だったし…眼鏡も…良かったんだが」 「だが?」 「一番は…その、貴様が…鬼ヶ崎先輩って呼んだ時に恥ずかしがったから…」 「…お前さん、本当に…なんていうか…むっつりだな…」 告白させといて少し引くカイコクに、ザクロはムッとする。 「貴様が聞くからだろう!」 「あー、はいはい悪かった」 へら、と笑うカイコクはすっかりいつもの調子だ。 「そういう貴様はどうなんだ」 「へ、ぇ?」 「悪くなかった、と言っていたが」 「…ぅ……」 ザクロのそれに、途端に顔を赤くするカイコクが可愛らしい。 いつもこうなら良いのに、と思った。 「鬼ヶ崎?」 促し、顔を覗き込めばしぶしぶ、といったようにカイコクが口を開く。 「……ザクロくん、って呼んだ後のお前さんが…その…存外強引だったから…」 「…うん?」 聞かされる言葉に耳を疑った。 まさか…少し強引なくらいが好きだなんて。 「っ、忘れな、忍霧!!」 ふいっとそっぽを向くカイコクの耳が赤く染まっている。 「…嫌だ、忘れない」 「…っ!忍霧?!」 きっぱり言うザクロに、カイコクがほんの少しムッとした声を出した。 「鬼ヶ崎先輩が可愛らしいということも、強引な『後輩』が好きだということも、覚えておいてやる」 囁き、口付けようとして…流石に阻まれる。 「…鬼ヶ崎」 「…俺の後輩は、もっと素直で可愛いと思っていたんだが?」 「残念だな、存外素直でも可愛くもなくて」 くすり、と笑ってやれば、ザクロは抱きしめられていた腕を解かれ、布団から追い出された。 「…おい」 「…腹が減った。お前さんの先輩は、おにぎりを所望する」 声を荒げようとしたザクロにカイコクが言う。 「鬼ヶ崎?」 「5分。それ以上は待たねぇ。…行ってくれるよな」 ザクロくん。 ゆわりと微笑まれるそれは確かにザクロが好きな表情で。 「…褒美は」 「出来次第」 「…わかった」 その言葉に、ザクロは立ち上がって部屋を出た。 思ったより冷たい風が肌に纏う。 我儘で可愛い…まるで子猫のような先輩が待ちわびている、とザクロは食堂へと足を速めたのだった。
ハロウィンなので高校の制服着てください!R18 ザクカイ
「…ん、ぅっ、ふ…ぁ…」 深く深く口付けていたそれを離した。 大きく息を吐き出す二人の間につぅ、と糸が一本引かれる。 さんざ、上顎やら歯の裏やらを舌で擽ってやったカイコクはとろんとしていた。 下世話な話だなんだをする割に実際カイコクはとんと初心なのである。 可愛いな、と思いながらザクロはその頬を撫でた。 「…ん、ぅっ…」 無意識なのだろう、すり、とカイコクがそれに甘えるように擦りつく。 「どうした?今日は随分甘えただな、鬼ヶ崎先輩」 フッと笑ってやるとカイコクは少し不満そうな顔をした。 「…それ、止めてくんなぁ」 「…それ、とは」 「その…先輩っていうやつでぇ」 首を傾げたザクロにカイコクが小さく答える。 どうやら普段と違う呼び方なものだから、恥ずかしいらしかった。 「…なんで」 「…なんでって…なんつーか…ムズムズする…」 態とらしく理由を聞くザクロに、モゴモゴと言うカイコクがあまりにも可愛いものだから。 少し、ほんの少しザクロはこのまま虐めたくなった。 普段は飄々と言うカイコクが照れているのは珍しいのである。 だから。 「嫌だ」 「…なっ…!」 あっさり言うザクロに、カイコクの黒曜石の瞳が大きく見開かれた。 いつも揶揄われているのだから、少しは仕返しも構わないだろう。 ちゅ、と触れるだけのキスを落としてザクロは笑った。 「たまには可愛い後輩のお願いを聞いてくれても構わないだろう?鬼ヶ崎先輩」 「…っ!お前さん、後輩って、自分で思っちゃいねぇだろ…ぅ…!」 焦ったようにわたわたと言うカイコクは非常に珍しい。 普段は人形のように綺麗な笑みを見せるだけの彼が自分の言動に振り回されているのは見ていて少し楽しかった。 それに、自分で言ってしまったが、可愛い後輩、という言葉に思いの外動揺したのが気になる。 可愛いは否定しないんだな、と思いながらザクロは態とらしく首を傾げた。 悔しかったりもするが、使える所は使っていかなければ。 「…だめ、か?鬼ヶ崎先輩」 「…~っ!今回、だけでぇ……」 案の定あっさり落ちたカイコクにザクロは小さく笑って頬を撫でる。 「分かった。今回だけの遊び、だ」 「…ん…!」 そんなザクロに、カイコクは不満そうにしていたがふと何かを思い出したかのようにニッ笑った。 「…なあ、忍霧。そんならお前さんの呼び名も変えないとな」 「はぁ?俺は別に……」 「そういう訳にもいかねぇだろう。…なぁ、『ザクロくん』?」 にっこりとカイコクが微笑む。 その口から溢れる名前はキラキラと輝いていて。 「…なっ……!き、さま……っ!!」 途端に顔の熱が一気に集まった。 「どうした、遊びは終いかい?ザクロくん」 意地悪くカイコクが笑む。 どうやらこのまま通すことにしたようだ。 「…っ。…まさか。無知な俺に色々教えてくれ、鬼ヶ崎先輩」 「あぁ。俺は優しいからな。…可愛い後輩に何でも教えてやる」 不敵な笑みを浮かべるカイコクの頬に手を添え、ザクロはちゅ、と触れるだけのキスを落とす。 無知な後輩と優しい先輩。 今回だけのごっこ遊び。 普段とは違うそれは確かにぞくぞくとした。 「ん、ぅっ、ふぁ…ぁう…」 もう一度深く口付けながら、ザクロはネクタイを外そうとする。 が、人のネクタイなんか外した事もないから、どうしたら良いのか分からなかった。 一瞬固まるザクロに口を離したカイコクがゆったりと微笑む。 「何にも知らねぇんだなァ、ザクロくんは」 くすり、と笑ってカイコクがザクロの手を添え、教えるように指を絡めた。 「…慣れているんだな」 「なんでぇ、嫉妬かい?」 しゅるりとネクタイを外し、ニットベストに隠れないボタンを外して首元を緩ませながらカイコクが笑う。 「安心しな。心を許したのはお前さんだけだぜ?ザクロくん」 そうやって綺麗な笑みを浮かべるから、いっそ縛ってやろうかとも思った。 だが、ネクタイはそうやって使うものではないと思い直す。 まあそんなことを言ってしまえば、このごっこ遊びもどうなのかと思うけれど。 「…。…煽って後悔するなよ、鬼ヶ崎先輩」 「ふふ、後悔させてくれんのかい?」 クスクスと揺らす肩にある入れ墨を露出させた。 舌を這わせながら両手を服の中に潜り込ませ、乳首を弄る。 「…っ!ふ、ゃぁ…!」 「気持ち良いか?」 ぴちゃぴちゃ舐めながら聞けば、可愛らしい声を上げながらもカイコクは笑みを作った。 「…は……行為中に聞くのは…野暮だぜ…んっ…ザクロ、くん?」 「分からないことは教えてくれるんじゃなかったのか?鬼ヶ崎先輩」 揚げ足を取ったり煽られたりしながらもザクロは責める手を休めない。 乳首を摘み上げたりくるくると擽ったりしながら高めていった。 黒いスラックスをパンツごと脱がせてやれば、先走りの糸が引く。 「躰は素直に教えてくれるようだが」 「…っ」 ザクロのそれにカイコクはふいと横を向いた。 恥ずかしいのか耳が赤く染まっている。 くちりと亀頭を撫であげると、ビクンッとその躰が跳ねた。 「ぅう、ぁぅ…ゃ…!」 ふるふると髪を乱しながらカイコクは首を振る。 亀頭に息を吹きかけ、竿を手で何度もこすり上げた。 「ぅあっ、あ、ゃ、は…~~~っ!!」 ビクビクと躰を揺らし、爪先をぎゅうと丸めてカイコクは精を吐き出す。 「沢山出たな、鬼ヶ崎先輩」 小さく笑い、荒い息を吐き出すカイコクに見せつけてやった。 そっぽを向く彼が面白くなくて、ザクロはその綺麗な足を肩に抱え上げる。 「んぅ…っ!!」 精を指に塗りつけてそろりと後孔へと手を伸ばした。 表面を撫で擦ればきゅん、とそれを銜えこもうとしてくる。 躰は素直で可愛いのに、と思いながらザクロは一本指を潜り込ませた。 「はぅ、ぅう~…っ!!」 「…おい、自分の腕を噛むな」 声を抑えたいのか、自分自身の腕を噛むカイコクを叱り、その手をぎゅっと握る。 「だって…ふぁっ?!や、ぁう……っ!!」 恨めしそうなカイコクがある一点を擦った途端に大きく跳ねた。 二本、三本と指の数を増やし、一気に責め立てる。 「そこ…ぃや…だ…!ぁん、や、やぁ…!!」 「やだ、じゃないだろう?」 「嫌、だって……ぅうんっ!!はぅ、ぁ、あ、あぁあっ!!!」 嬌声を挙げ、嫌々と駄々をこねるように首を振り、カイコクはイッた。 「…鬼ヶ崎、先輩?」 「…嫌だって、言った」 指を引き抜き顔を覗き込めば、カイコクは拗ねたようにこちらを見ていて。 それが何となく幼く見えるから少し笑ってしまう。 綺麗なお人形さんと揶揄されるカイコクがこんな顔をするだなんて。 「すまない、やり過ぎた」 ちゅ、とカイコクにキスを落とす。 「…ザクロくんがこんなに意地悪だなんてな」 「だから、悪かったと…」 むすぅ、と不服そうなカイコクにザクロは少し慌てた。 まさかこんなところで終わっては溜まったもんじゃない。 「…気持ち良く、するから」 「…ん……」 囁やけば、こくりとカイコクが頷いた。 彼もまた色々と限界なのだろう。 ザクロは自分のズボンを脱ぎ捨て、ゴムを嵌めようとした。 しかし、その手をカイコクが止める。 「…普段は生、嫌がるだろう?」 「…良い、から」 きゅ、とザクロの服を掴んで引っ張るカイコクが可愛く、足を抱え上げた。 「ぅうん、あ、あぁっ、や…!」 「鬼ヶ崎…っ!」 ズブズブと埋めていき、最奥に収まったところで大きく腰をグラインドさせる。 「…ひぅっ…!やぁう、あ…おし、ぎり…忍霧ぃ…!」 「はっ、ぅぐ…っ!!」 切な気に呼ぶ彼の手を握り、ぱちゅぱちゅと水音を響かせた。 何度も何度も奥を突き上げる。 「く…っ、出る…っ!!」 「ふぁっ、あっああっ!!!」 最奥に叩きつけるように熱を吐き出した途端、カイコクも同時に果てた。 どちらともなくキスをして、余韻に浸りながらもザクロはずるりとそれを抜く。 「ん…!」 ふる、と震えたカイコクから、白濁色のそれが溢れてきた。 なんともいやらしいそれに思わずごくりと喉が鳴る。 だが。 「…調子に乗るなよ、忍霧」 くたりとしたカイコクが自身の腕でガードしながらそう言う。 呼び名も元に戻っていて、どうやらごっこ遊びは終いのようだ。 「…鬼ヶ崎」 「だぁめだ」 強請るように呼んでみるがカイコクは頑として譲らない。 しゅんとするザクロにカイコクははぁ、と溜め息を吐いた。 「お前さんに付き合ってちゃァ身が持たねぇ。…まあ、確かに、悪かぁなかったが…」 最後の方は言い訳がましくカイコクが言う。 「ま、年一のお遊びなら付き合ってやっても…良いぜ?」 「…え…」 にっこり笑うカイコクに思わず固まった。 それを余り気にしない様子で彼は起き上がり洋服を脱ごうとする。 「あーあー、ドロドロだな。どうすんでぇ忍霧…ぅえう?!」 少し嫌そうに言うカイコクを押し倒した。 「待て、待て待て忍霧?!俺はもうしないって…!」 「だが今年のハロウィンはまだ終わっていない」 焦るカイコクにザクロは笑ってみせる。 「年一のお祭りには、付き合ってくれるんだよな?鬼ヶ崎先輩?」 囁くザクロにカイコクは引き攣った悲鳴を上げた。 彼のハロウィンは…まだまだ終わりそうにない。
ハロウィンなので高校の制服着てください! ザクカイ
「あ、忍霧さん」 ぱ、と嬉しそうな声で呼ぶのは割烹着を着たヒミコであった。 「…伊奈葉?」 「クッキー作ったんです。今日はハロウィンなので…お一つどうぞ」 ぽわぽわと笑む彼女が皿を差し出してくる。 その上にはかぼちゃの形をしたクッキーが乗っていた。 「…器用なものだな」 「えへへ、ありがとうございます」 「…味も美味い」 ほろりと口の中で解けるそれは、確かに美味で、ザクロは小さく笑みを浮かべる。 「良かったです」 「…。…もう一枚貰っても?」 ザクロのそれに、はい!とヒミコが笑んだ。 礼を言い、ひとつ摘み上げて踵を返す。 「甘さは控えてるので…多分、大丈夫だと思います」 後ろからする、彼女の可愛い声に苦笑した。 …どうやらヒミコには行き先やら何やらがバレているらしい。 ノックをし、返事を待たずに部屋に入った。 「鬼ヶ崎」 「…ん……」 部屋の主であるカイコクは昨日無理をさせすぎたのかそれとも元の性分か、まだ布団に包まっている。 寝顔は可愛いのに、と思いながらザクロはクッキーをティッシュを敷いてからその上に乗せた。 「鬼ヶ崎、起きろ」 「…おし、ぎりぃ…?」 ぽやん、とした声は、以前寝顔を見せるのが嫌だと言っていたのが嘘のように気が抜けている。 それ程に信頼されているのかと嬉しくなった。 「ああ。よく寝ていたな」 「…誰の、せいだと…思ってんでぇ…」 くしゃりと黒髪を撫ぜてやればカイコクが少々ブスくれる。 どうやらここまで眠ってしまったのはザクロのせいだと言いたいようだ。 「悪かった」 それに自覚はあるから素直に謝る。 カイコクもその返答に良しとしたのか、起き上がってもそもそと着替えはじめた。 「…帯がねぇ」 今気付いた、と言わんばかりの声を出したカイコクがにこりと笑う。 そうして。 「忍霧ぃ、とって」 「…わかった」 はぁ、とザクロは溜息をついて立ち上がった。 そこまでしなくても、と思うがどうしてもこの笑顔には敵わないのである。 押し入れを開け、桐箪笥に手を伸ばそうとしたその時。 ふと、見慣れないものがあるのに気がついた。 「…これは」 「?忍霧?」 固まったザクロを不思議に思ったのか、カイコクが首を傾げる。 「なあ、これは…」 「ああ、それ。高校ん時の制服だな。また懐かしいものを…」 ひっぱり出してきた服を見せるとカイコクがふわふわと笑った。 ザクロは高校2年生、対するカイコクは大学1年生だ。 普段は気にしたことも無いが…そういえば彼の制服は二度とお目にかかれないものだと思い出す。 「…着てくれないか」 「…はぁ?なんで」 思わず出たそれはカイコクが驚くのも無理はない発言だった。 だが、見てみたいのはまごうことなき本音で。 それは口には出来ず、パニックになったザクロは思わず「ハロウィンだからな」と言ってしまう。 「…ハロウィン…。ああ、トリック・オア・トリートってやつかい?」 「そうだ、それだ」 カイコクの言葉に便乗すれば、「仮装でもなんでもねぇ気がするんだが」と彼は楽しそうに笑った。 「まあ、付き合ってやっても良いぜ?」 「本当か?!」 「但し、お前さんも着て来な」 「…俺も?」 くす、と微笑まれ、ザクロは一瞬首を傾げたが、分かったと頷く。 「着替えてくる」 そう言って自室に戻り、クローゼットを開けた。 制服に手を通すのはどれくらい振りだろう。 ここはカレンダーもないから日付感覚がいまいち分からなかった。 ループ帯をきっちり締め、ブレザーを着込んだザクロはカイコクの部屋に戻る。 「…待たせた…な……」 遅ぇ、と、笑うカイコクを見、ザクロは思わず固まる。 黒いスラックに白の靴下、白のYシャツと臙脂のネクタイに…ニットベスト。 ブレザーは想像より綺麗に着こまれていた。 「どうしたんでぇ、忍霧」 にこり、と笑うカイコクは眼鏡を着けている。 入れ墨が見えないから一瞬誰だか分からなかった。 「いや…制服は真面目に着るんだな、と」 「これでも真面目だったんでね」 「…言っていろ」 可愛らしく笑うカイコクにザクロは溜息を吐く。 普段は飄々と人を煽るくせに、と。 「忍霧」 「なん…」 「トリック・オア・トリート」 にこ、と笑みを浮かべ、カイコクが言う。 「…ほら」 先程ヒミコから貰ったクッキーを口に突っ込んだ。 貰えるとは思っていなかったのか驚いた顔で咀嚼するのが少し面白い。 「こ、れは」 「伊奈葉からだ」 「…なるほど」 納得した、と言う彼に今度はザクロが言う番で。 「ところで」 「え…」 「TRICKyetTREAT?」 囁くと、え、と小さく声をもらした。 「待て待てお前さん、今イエットって」 「何か問題が?」 焦るカイコクに純粋に首を傾げる。 「…っ!!少しは年上を労るっていう…!ん、ぅうっ!!」 文句を言いかける彼へ、ちゅ、と口付けをした。 普段揶揄われているのだし、別に良いだろう。 …それに。 「真面目だった貴様には色々教えて欲しいんだ。…頼めるな?鬼ヶ崎、先輩」 マスクを外してザクロは笑った。 制服のカイコクがあまりに可愛かったから。 彼の当時を知らない自分に酷く腹が立ったから。 菓子のように甘い彼に悪戯をしたくなった。 「先輩は、卑怯だろぅ……。…ん、んぅうっ!!」 モゴモゴ言うカイコクに今度は深く深く口付ける。 それは、仄かなかぼちゃの味が…した。 (今日は素敵なハロウィン!)
(あまりに便乗しすぎじゃないかって?それは言わないお約束!)
浅葱色の贈り物
丁度良い所に、と笑顔で呼び寄せたのは山姥切長義である。 「?んだよ」 「これを祖…燭台切さんの所に持っていってもらえるかな」 差し出されたのは白い布であった。 触り心地が良く少し暖かいから、先程まで日光に当たっていたのだろう。 「いーけど。自分で持っていけば……」 「なら、君が代わりに残りの洗濯を全て畳んで各部屋の箪笥に入れてくれるのかな、和泉守兼定?」 にっこり微笑む長義に兼定は少し引き攣った笑みを見せる。 悪かったと謝り、燭台切光忠がいる厨に向かった。 「おぉい、燭台切ぃ」 「兼定くん、どうかした?」 中に向かって呼び掛ければ何やらおやつを作っていた光忠が振り返る。 「何作ってんだよ?」 「大学芋だよ。お味見どうぞ」 覗き込めば微笑みながら一つ差し出してきた。 皆には内緒だからね、と笑うそれは何とも悪戯っぽく、少し意外な印象を受ける。 「ん、美味いな」 「ありがとう。ところで、僕に何か用事かな?」 はふはふと口内の湯気を逃しながら自然の甘さが絶妙なそれを食していれば、光忠が小さく首を傾げた。 「あぁ、これ。山姥切の…長義の方から」 「…あ、これね。…えっと、わざわざ来てくれて悪いんだけど清光くんの方に持っていってもらえるかな」 「はぁ?…別に構わねぇけど」 「助かるよ。おやつも持っていってあげて」 にこりと笑った光忠が持たせてくれた、大学芋が乗った皿と空の湯呑みが2つ置かれたお盆と長義から渡された白い布を持ちつつ、訝りながら次の部屋への向かう。 「おーい、邪魔する…」 「兼定うっさい!」 声をかけた途端睨むのは加州清光だ。 普通に声をかけただけなのに何を、と文句を言おうとしたが、部屋に足を踏み入れただけで全てを察してしまった。 「主ねぇ、徹夜明けだって」 清光がお盆を受け取りながら苦笑する。 「作品が上手くできないって散々悩んで静かな俺の部屋でひたすら納得いくまで作ってたけど、漸く満足いったみたい。寝かせてあげて」 笑みの先では机に突っ伏して寝る主の姿があった。 なるほど、それに漸く納得する。 光忠が寄こした訳も、長義に持たされたものの正体も。 「ありがとな。…燭台切がおやつ用意してるぜ。今なら出来たて食えるかもな」 「おっ、やったね」 清光が立ち上がり部屋を出ていく。 それを見送って、兼定は白い布をかけてやった。 主の綺麗な指から紡がれる作品は、兼定も大好きだけれど、あまり無理をしないでほしい、と思う。 自分よりも短い主の黒髪に指を通す。 聞こえないよう、そっと囁いた。 「大学芋が冷める前に起きろよ、主」 さあ、と部屋に舞い込む風はどことなく秋の匂いが、した。
ミクルカで諸刃の剣
ボーカロイドは小春の夢を見る/ミクルカ
私はボーカロイド、初音ミク。 世間では歌姫と言われる…いわば、ボーカロイドの象徴的存在だ。 歌った楽曲は星の数ほど、それに伴って楽曲で使った衣装も山のように増えていた。 …何が言いたいか。 私、初音ミクは大層な衣装持ちである。 この数日天気が良かったからマスターが遂に衣装の衣替えをすることは聞かされていた。 私は収録があるから手伝えないということも伝えている。 だから、必然的に他の兄妹がそれを担っているわけで。 お兄ちゃんから「今日は特に天気が良かったから良く乾いたよ」と連絡が来たから、今日の洗濯当番はお兄ちゃんなのかなって思ってた。 …だから油断したんだ。 「たっだいまぁ」 適当にリビングに向かって声をかけ…ふと部屋を覗いたのがいけなかった。 「…え?」 私の思考は停止する。 有り体に言おう、ルカちゃんが寝ていた。 それだけでもかなり珍しいことなんだけど、あの。 ……なんでこの、私の可愛い妹さん兼愛しい恋人さまはは私の衣装の真ん中で寝てるんでしょうか…? いや、分かるんだよ? 多分よく乾いた洗濯物を畳んでくれてた、その途中で眠くなったんだろうということは。 私が分からないのはそういう事実ではなく!! 「おー、ミク姉ぇの巣だ」 「どわっしゃぃ!!」 やる気のない声が真隣から聞こえて私は物凄く驚いてしまった。 「あ、ミク姉ぇお帰り」 「たっ、ただいま、レンくん。いたの」 「俺今日仕事ねぇもん」 「いや、そういうことではなくね??」 「しっかしいつ見ても見事よなぁ、ルカ姉ぇ作、ミク姉ぇの巣」 「……はぇ??」 レンくんの、その言葉に私はまた固まった。 …今、なんて??? 「…ルカちゃん、いつもこんな巣作ってんの?」 「なんか、『ミク姉さまの香りがして落ち着きますの。…秘密ですわよ?』って」 「おもっくそ秘密喋ったね?」 「あっはっは、さぁて俺は兄さんでも手伝ってくるかなー」 白々しく笑ってレンくんがキッチンに行く。 遠くで「誰か帰ってきたの?レン」というお兄ちゃんの声がした。 しばらくお兄ちゃんはこっちに気付かないだろう。 「……はぁ…」 溜息を吐き、そろそろと一城の姫の元へ歩を進めた。 もう、可愛いことしてくれちゃって!! 春の風が吹く。 夕方の…冬をほんの少し残した柔らかな風が。 ルカちゃんの、春色の髪を揺らした。 大好きなルカちゃんが作り上げた、私の巣。 寂しがり屋のくせにそれを見せないルカちゃんが作った…愛の巣。 「…本人、ここにいるんだけどな」 するりとルカちゃんの頬を撫であげて、私は優しくキスを落とした。 「好きよ、ルカちゃん。だから、起きて」
夢見心地のルカちゃんが素っ頓狂な悲鳴を上げるまで…後数分。
|