司冬ワンライ・たんぽぽ/どこか遠くへ

道の端でたんぽぽの綿毛を見つけた。
それを見、嗚呼、春ももうすぐ夏になるのだな、と思う。
「…たんぽぽは司先輩に似ていますね」
「ん?」
隣を歩いていた冬弥が僅かに微笑んで言った。
それに首を傾げれば彼は司の好きな表情を浮かべる。
「太陽に向かって花を咲かせる、キラキラしているところや、人を元気にさせるところ…それから、どこにでも行けるところが、先輩に似ていて」
「そうか??」
「はい。特に幼少期の俺にはとても眩しかったです」
少し遠い目をする冬弥を引き寄せた。
今の司自身を見てほしくて。
「…先輩?」
「…。知っているか?冬弥。たんぽぽには幸せや真心の愛という花言葉がある。もしオレがたんぽぽに似ているのならば、きっと愛しい冬弥に捧げるためにあるのだと、そう思うが」
「…!」
「それにな、昔はともかく今は冬弥もどんなところにも行けるだろう?」
驚いた顔の冬弥の手を引いた。
風で綿毛が飛ぶ。
ふわりと舞い上がり、青空に溶けた。
「オレたちも綿毛に負けず行くぞ、冬弥!」
「…はい」
笑う司に冬弥も目を細める。
そこに、かつてどこか遠くへと願っていた少年はいなかった。




さあ、行こう

幸せを引き連れ、共に!

prsk

レオニ
咲希箱(ステラ/3Dミク)
☆4咲希、ルカ、志歩☆3穂波☆2一歌
穂波箱(霽れを待つ/2Dミク)
☆4穂波、MEIKO、一歌☆3咲希☆2志歩
志歩箱(『1 』/2Dルカ)
☆4志歩、穂波、咲希☆3一歌☆2MEIKO
咲希箱(フロムトーキョー/3Dミク)
☆4咲希、リン、志歩☆3穂波☆2一歌
一歌箱(流星のパルス/2DMEIKO)
☆4一歌、KAITO、穂波☆3志歩☆2咲希
穂波箱(Stage of Sekai/3Dレン)
☆4穂波、志歩、咲希☆3一歌☆2レン
志歩箱(Peaky Peaky/2DKAITO)
☆4志歩、一歌、KAITO☆3咲希☆2穂波
一歌箱(オーダーメイド/3Dルカ)
☆4一歌、咲希、穂波☆3志歩☆2ルカ
咲希箱(てらてら/2Dミク)
☆4咲希、一歌、レン☆3KAITO☆2志歩
志歩箱(voices/3Dリン)
☆4志歩/限定、一歌/限定、咲希/限定☆3リン☆2穂波
一歌箱(TheWALL/3Dミク)
☆4一歌、穂波、ミク☆3咲希☆2KAITO
穂波箱(Flyway/2Dレン)
☆4穂波、志歩、咲希☆3ミク☆2一歌
咲希箱(/2D)
☆4咲希、穂波、MEIKO☆3志歩☆2一歌
混合
☆4ルカ(お正月)志歩(トワライ・うさぎ/限定・文化祭/限定)穂波(トワライ・臨海/限定・お正月2/限定・お絵描き)咲希(ひな祭り・臨海/限定・バレンタイン/限定)一歌(桜・イルミネ/限定・アロマ/限定)ミク(桜)
☆3咲希(お正月)ミク(うさぎ)志歩(ホワイトデー)穂波(2周年・アロマ)レン(お絵描き)
☆2 咲希(体育祭・クッキング)穂波(ひな祭り・イルミネ)志歩(お正月2・弓道)一歌(スポーツ)

モモジャン
愛莉箱(モア!ジャンプ!モア!/2Dミク)
☆4愛莉、みのり、リン☆3雫☆2遥
雫箱(Color of Drops/3Dルカ)
☆4雫、ルカ、愛莉☆3遥☆2みのり
みのり箱(天使のクローバー/3Dリン)
☆4みのり、遥、雫☆3ルカ☆2愛莉
遥箱(アイノマテリアル/2DMEIKO)
☆4遥、雫、みのり☆3MEIKO☆2愛莉
愛莉箱(アイスドロップ/3Dレン)
☆4愛莉、レン、遥☆3雫☆2みのり
みのり箱(ワールドワイドワンダー/2DKAITO)
☆4みのり、愛莉、雫☆3KAITO☆2遥
雫箱(メタモリボン/2Dリン)
☆4雫、みのり、ミク☆3遥☆2愛莉
遥箱(イフ/3Dミク)
☆4遥/限定、みのり/限定、リン/限定☆3ミク☆2雫
愛莉箱(パラソルサイダー/2Dルカ)
☆4愛莉、雫、MEIKO☆3みのり☆2遥
みのり箱(Dream Place/3DMEIKO)
☆4みのり、遥、愛莉☆3雫☆2KAITO
遥箱(フロート・プランナー/2Dリン)
☆4遥/限定、愛莉/限定、MEIKO/限定☆3みのり☆2雫
雫箱(私は、私達は/3Dレン)
☆4雫、愛莉、みのり☆3遥☆2MEIKO
愛莉箱(/3D)
☆4愛莉、KAITO、遥☆3みのり☆2雫
混合
☆4みのり(一周年フェス/限定・スポーツ/限定・文化祭/限定)遥(体育祭・Wデート・お正月2/限定)愛莉(ピクニック・バレンタイン/限定)雫(うさぎ/限定・ウェディング/限定・2周年/限定・弓道)MEIKO(うさぎ)ルカ(Wデート)KAITO(弓道)☆3みのり(桜)愛莉(夏祭り・ウェディング・弓道)遥(文化祭)ミク(お正月2)リン(バレンタイン)☆2ルカ(ピクニック)雫(Wデート・バレンタイン)

ビビバス
杏箱(ForwarD/3Dミク)
☆4 杏、こはね、彰人☆3冬弥☆2MEIKO
冬弥箱(RADDOGS/2Dミク)
☆4冬弥、彰人、杏☆3こはね ☆2レン
彰人箱(シネマ/3DKAITO)
☆4彰人/限定、杏/限定、KAITO☆3こはね☆2冬弥
こはね箱(BeatEater/2Dレン)
☆4こはね、杏、MEIKO☆3冬弥☆2リン
杏箱(AwakeNow/2Dミク)
☆4杏、冬弥、ミク☆3レン☆2彰人
冬弥箱(ミライ/3Dルカ)
☆4冬弥、彰人、杏☆3ルカ☆2こはね
こはね箱(Flyer!/3Dレン)
☆4こはね、冬弥、レン☆3杏☆2彰人
彰人箱(月光/2DMEIKO)
☆4彰人、こはね、KAITO☆3冬弥☆2杏
杏箱(街/3Dリン)
☆4杏、彰人、リン☆3こはね☆2冬弥
冬弥箱(虚ろを扇ぐ/2DKAITO)
☆4冬弥、こはね、KAITO☆3杏☆2彰人
彰人箱(仮死化/3DMEIKO)
☆4彰人、ルカ、冬弥☆3こはね☆2杏
こはね箱(ひつじがいっぴき/2DMEIKO)
☆4こはね、彰人、杏☆3冬弥☆2ルカ
混合
☆4冬弥(ひな祭り・結婚式/限定・ゲーム/限定・クッキング/限定)こはね(お正月2/限定・一周年フェス/限定・桜・Wデート・文化祭/限定)ミク(お正月)レン(お正月・夏祭り)彰人(夏祭り・ホワイトデー/限定)杏(ウェディング/限定・獅子舞/限定)MEIKO(ウェディング/限定)KAITO(クッキング/限定)☆3彰人(結婚式、体育祭2・ゲーム)杏(Wデート)ミク(クッキング)☆2杏(結婚式)冬弥(文化祭)こはね(臨海・ウェディング)リン(文化祭)彰人(獅子舞)

ワンダショ
類箱(potatoになっていく/3Dミク)
☆4類、司、KAITO☆3えむ☆2寧々
寧々箱(ニジイロストーリーズ/2DMEIKO(KAITO、類、寧々))
☆4寧々、ミク、MEIKO☆3類☆2えむ
えむ箱(ワンスアポンドリーム/2Dレン)
☆4えむ/限定、寧々/限定、類☆3レン☆2司
司箱(トンデモワンダーズ/3DKAITO)
☆4司、えむ、寧々☆3リン☆2KAITO
寧々箱(Glory Study Go!/2Dルカ)
☆4寧々、類、ルカ☆3KAITO☆2えむ
類箱(ショウタイム・ルーラー/3Dリン)
☆4類、えむ、寧々☆3司☆2リン
えむ箱(にっこり^^調査隊のテーマ/3Dミク)
☆4えむ、司、MEIKO☆3寧々☆2類
司箱(88☆彡/2DKAITO)
☆4司、寧々、類☆3えむ☆2ミク
寧々箱(星空のメロディー/3DMEIKO)
☆4寧々、えむ、司☆3MEIKO☆2類
類箱(どんな結末がお望みだい?/2Dミク)
☆4類、司、寧々☆3ミク☆2えむ
えむ箱(星空オーケストラ/3Dルカ)
☆4えむ、類、レン☆3司☆2寧々
司箱(ひとしずく×やま△/ Mr. Showtime/2Dリン)
☆4司、えむ、寧々☆3類☆2MEIKO
混合
☆4えむ(体育祭・臨海・バレンタイン/限定・ゲーム/限定・お絵描き)ミク(体育祭1)司(文化祭・ひな祭り・一周年フェス/限定・ホワイトデー/限定・獅子舞/限定)KAITO(文化祭)リン(トワライ・獅子舞/限定)類(結婚式/限定、体育祭2、2周年/限定・クッキング/限定)レン(結婚式)ルカ(体育祭2)寧々(ゲーム/限定)
☆3寧々(文化祭/獅子舞)司(トワライ)ルカ(ひな祭り)類(ピクニック)ミク(臨海)
☆2 司(お正月)類(トワライ)レン(ホワイトデー)ミク(ゲーム)

ニーゴ
まゆふ箱(ジャックポットサッドガール/2Dミク)
☆4まふゆ、奏、ミク☆3瑞希☆2 絵名
絵名箱(限りなく灰色へ/3Dリン)
☆4絵名、まふゆ、奏☆3リン☆2瑞希
瑞希箱(アイディスマイル/3DMEIKO)
☆4瑞希、MEIKO、絵名☆3奏☆2まふゆ
奏箱(カナデトモスソラ/2Dルカ)
☆4奏、ルカ、まふゆ☆3瑞希☆2絵名
まふゆ箱(再生/3Dリン)
☆4まふゆ、瑞希、リン☆3絵名☆2奏
瑞希箱(ロウワー/2DMEIKO)
☆4瑞希/限定、絵名/限定、奏☆3MEIKO☆2まふゆ
奏箱(トリコロージュ/2Dミク)
☆4奏、まふゆ、瑞希☆3絵名☆2ミク
絵名箱(ノマド/3Dリン)
☆4絵名、奏、リン☆3まふゆ☆2瑞希
まふゆ箱(バグ/2Dレン)
☆4まふゆ、瑞希、レン☆3絵名☆2奏
瑞希箱(君の夜をくれ/3Dルカ)
☆4瑞希、まふゆ、奏☆3絵名☆2ルカ
絵名箱(Iなんです/2Dミク)
☆4絵名、奏、まふゆ☆3瑞希☆2レン
奏箱(てにをは/ザムザ/3DKAITO)
☆4奏、瑞希、絵名☆3まふゆ☆2KAITO
瑞希箱(/2D)
☆4瑞希/限定、まふゆ/限定、レン/限定☆3絵名☆2ルカ
混合
☆4瑞希(文化祭・ピクニック・ホワイトデー/限定、体育祭2)絵名(お正月・ピクニック・夏祭り、スポーツ/限定、お絵描き)まふゆ(イルミネ/限定、2周年/限定、弓道)、奏(スポーツ/限定)ミク(イルミネ)☆3まふゆ(体育祭)、奏(一周年フェス・イルミネ)ルカ(スポーツ)☆2奏(桜、お絵描き)瑞希(夏祭り)まふゆ(うさぎ)絵名(体育祭2)

カラフルフェス
一歌、モモジャンミク、ビビバスリン、ワンダショレン
奏/限定、まふゆ/限定
遥/限定、愛莉/限定
一歌/限定、ミク/限定
類/限定、寧々/限定
冬弥/限定、杏/限定
穂波/限定、志歩/限定
ミク/限定、ルカ/限定
絵名/限定、瑞希/限定
リン/限定、レン/限定

みのり/限定、雫/限定
咲希/限定
司/限定、えむ/限定
彰人/限定、こはね/限定
MEIKO/限定、KAITO/限定

バチャシン限定
レオニ
ルカ
モモジャン
リン、MEIKO
ビビバス
レン、MEIKO、KAITO
ワンダショ
KAITO、リン
ニーゴ
ミク、レン

悪ノコラボ
☆4リンレンルカMEIKOKAITO☆2ミク
バチャシンフェス
☆4ミクルカレンKAITO☆3MEIKO☆2リン




限定2
レン
限定4
一歌、みのり、遥、冬弥、寧々、類、絵名
限定5
志歩、杏

しほはるワンドロワンライ・探検ごっこ/連休

「桐谷さんって、連休もスケジュール埋まってるの?」
久しぶりに一緒に帰れた日、他愛もない話をしていたのだが、ふと気になって志歩は聞いてみた。
彼女はアイドル活動をしている。
テレビに出てからというもの、色んなところからオファーが来ているのは同じアイドルグループの姉から聞いて知っていた。
だから、連休もほとんどないのでは、と心配したのだけれど。
「そうでもないよ。ちゃんと休めるようにって配慮してるから」
「…そっか、なら良かった」
「日野森さんは?また強化練習?」
遥が首を傾げる。
綺麗な髪が風に揺れた。
「前半だけね。…あんまり詰め込んでも良いものにはならないし」
「そっか、そうだよね」
志歩の言葉に遥が笑う。
遥もストイックだから、練習の大切さも息抜きの大事さも知っているのだろう…切り替えは難しいらしいが。
「…ねぇ、もし良ければ一緒に探検ごっこしない?」
「探…なに?」
おずおずと遥からそんな言葉が出て、志歩は思わず聞き返してしまった。
…空耳だろうか?
「探検ごっこ。…鳳さんがね、街を知るためにって教えてくれたの。今まで知らなかった場所が知れるかもしれないし…どう、かな?」
遠慮がちに遥が聞いてくる。
そんな顔をされたら断れないのを知っているはずなのに。
…まあ彼女の頼みならば断ることもないのだけれど。
「…いいんじゃない?ちょっと楽しそうだし」
「!ありがとう、日野森さん!」
嬉しそうに遥が言う。
正直、この顔を見るために承諾したといっても過言ではないだろう。
「…あ、もし新しいお店とか見つけても配信とか、出来れば他の人には内緒にしててほしいんだけど」
志歩のそれに首を傾げていた遥はすぐに理解したようで柔らかく微笑んだ。
「分かった。日野森さんと私だけの秘密、だね」
「そういうこと。…良いお店が見つかると良いね」 
楽しそうな彼女の手をぎゅっと握る。



探検なんかしなくても、遥といればいつだって新鮮でワクワクするのだと


さて、いつに教えよう?


(今年はとても素敵な連休になりそうで!)



「…わぁ、見て、日野森さん。猫さんがいる純喫茶だ…!」
「…うん。可愛いかも…。ちょっと勇気いるけど、入っちゃう?」

司冬ワンライ・春時雨/ずぶぬれ

「ふむ」
司は空を見上げて腕を組む。
まさか晴天の青空から雨が降るとは思っていなかった。
無論、そんなこと考えてもいなかったから傘など持ってきてはいない。
学校とコンビニが近かったのはまだ幸いだったろうか。
春時雨を期待して雨宿りをするのも手だが…流石に練習には遅れられない。
「…仕方がないな」
小さく息を吐き出し、司は雨の中飛び出した。
すぐに制服がずぶぬれになる。
これはコンビニに寄るより一度帰った方が良いかもしれないな、と思った。
こんなに濡れてしまっては傘もあまり意味を為さないだろう。
…と。
「…司先輩?!」
雨の中、驚きの声に振り向けば傘を差した冬弥が目を大きく見開いてこちらを見ていた。
「おお、冬弥!」
ニカッと笑う司の手を、慌てたような様子で冬弥が引く。
「先輩、その、傘は…」
「今日は忘れてきた!…おお、すまんな」
戸惑いながら聞く冬弥がカバンからタオルを差し出してくれて司は遠慮なく受け取った。
「いえ。…風邪を引いてしまうかもしれませんので、待つ方が良かったのでは…」
「うむ。それも考えたんだが…今日はショーの練習があってな、抜けられんのだ」
「…しかし…」
困ったような冬弥に、司は心配させないように笑う。
冬弥は良いやつだなぁ、なんて思いながら。
「…水も滴る良い男、というだろう?」
「…!」
目を丸くする冬弥がややあって柔らかく微笑んだ。
それから。
「…司先輩は水が滴らなくても、とても良い男、です」

春時雨。


至近距離で、彼のそんな言葉が聞けるなら、

たまには良いかもしれないな?

世界ペンギンの日

「じゃあ明日の練習だけどいつもの時間で…」
志歩のそれに、他の3人が、え、と声を出した。
それに志歩も眉をひそめる。
「…え、って…何か用事あった?」
「私達は用事はないけど…ねぇ?」
「うん。…志歩ちゃんは用事があるんだと思ってたから…」
一歌と穂波が顔を見合わせた。
何かあったっけ、と言う志歩に、「ひっどぉい!」と頬を膨らせるのは咲希だ。
「はるかちゃんに言ーつけてやるんだから!」
「…何で桐谷さん…。…あ」
ぷんすこと怒る咲希に、意外な名前が出てきたなと思いながら呆れ…そして思い出す。
はぁ、と息を吐いてから天を仰いだ。
「咲希!」
「咲希ちゃん!」
「あ…えへへぇ……」
途端に一歌と穂波が窘め、咲希がやっちゃった、と言わんばかりに頭を掻く。
「…何で知ってんの……」
「そりゃあ、まあ、桐谷さんとは同じクラスだし…」
「はるかちゃんが嬉しそうだったから、何かあったのかなって!」
「わたしは、ラジオで4月25日が何の日かっていうのを聞いて…。廊下で志歩ちゃんと桐谷さんが話してるのを見ちゃったから…」
志歩の疑問に三人が答えた。
秘密にしているつもりはなかったがどうやらすっかりバレていたらしい。
「…。…練習時間はいつも通りで大丈夫。私達が行くのはナイトショーだから」
ならば、と志歩は説明した。
これだけバレていたのだから、隠しておくこともないだろう。
「なぁんだ、なら安心だね!」
「そうだね。…なるべく早く終われるように、自主練頑張るよ」
「わたしも。…明日は特別だもんね」
ホッとしたように笑う咲希、やる気の目をする一歌、そしてにこにこと首を傾げる穂波。
応援されるのはむず痒いが…変に隠す必要はないか、と志歩は小さく息を吐く。
「まあね」
短く答え、志歩はその時のことを思い出していた。



「…え、水族館のナイトショー?」
呼び出した遥がきょとんとする。
「そう。…桐谷さんが良ければ、だけど」
「明日は配信もないし…大丈夫だよ。…でも、どうして…」
首を傾げる遥に、志歩は僅かに笑みを浮かべた。
「…。…前に、ラーメンの日に誘ってくれたでしょ。だから、今度は私の番」
「…!」
目を丸くする遥に志歩はチケットを振る。
告げる言葉に、彼女の表情が破顔した。
「明日は、世界ペンギンの日なんだって」



大切な記念日を、貴女がお祝いしてくれたから

私も貴女にとってきっと大切な記念日を、共に祝いたかったのです!


「…ありがとう、日野森さん。楽しみだな。世界ペンギンの日の、ペンギンナイトショー」
「…良かった。私も、桐谷さんと一緒に見に行けるの楽しみ」

司冬ワンライ・ボカロ曲(骸骨楽団とリリア)

多分オレは昔に恋をしたのだと思う


それはきっと魔法みたいな恋の音


「冬弥!」
「…!司先輩」
小さく手を振る冬弥が司を見つけふわりと微笑む。
今日は冬弥と待ち合わせ、ショッピングモールに来ていた。
俗に言うデート、というやつだ。
「すまん、待たせたか」
「いえ、大丈夫です」
ふわふわと微笑む彼に司もそうかと笑った。
それから本屋に行ったり、雑貨を見たりしていた…のだけれど。
「…」
「…それで、その時の客席の反応が…。…冬弥?」
何かを見つけたらしい冬弥が立ち止まる。
視線を辿れば、ピアノが一台置いてあった。
「…オレで良ければ、何か弾くが?」
「えっ」 
司のそれに冬弥が驚いた顔をする。
クラシックと嫌な決別をしてからというもの、彼は弾くどころか触れることも、聴くことすらダメになった時期があった。
今は聴くことは大丈夫になったようだが…弾くことはまだ難しいのだろう。
ピアノを見て寂しそうにするのはそれが原因なようだ。
「…。…昔、海岸のコテージでコンサートをした時も、先輩は俺のためにピアノを弾いて下さいましたね」
「ああ…あったなぁ…。咲希のために持って行っていたおもちゃのピアノだろう?」
優しい顔の冬弥がいう言葉に司はくすくすと笑う。
まだ幼い頃、冬弥がまだクラシックをやっていた頃、次の日がコンサートなのだという冬弥を海辺に連れ出し、おもちゃのピアノで演奏をしたのだ。
あの時は何の曲をしたのだったか。
それから小さなピアノで連弾をしたり、冬弥のピアノに合わせて歌ったりと自由に音を紡いだことだけは覚えている。
「…退屈で孤独で…死んだ世界にいた俺を、色付けてくださってありがとうございます」
「なぁに、オレはしたいことをしただけだ。それに、オレはあの時からずっと冬弥の音に恋をしているのだぞ?」
「…先輩」
「バイオリンもピアノも、勿論冬弥自身の歌声も。オレは冬弥の『音』が好きなのだから」
笑い、司は目を閉じた。
彼の心臓に手を当てる。
トクン、と聞こえる、彼の鼓動。
心の奥底から音楽が好きだという『魂の声』を、聞いた。
それは昔から途切れない想いと音のカケラだ。

何年経っても、きっと彼の紡ぐ音に司は恋をする。


(恐らくそれは冬弥も同じ)

無口な神様が音を捨てて傾いたって

『君』への恋は止められない!


……
無口な神様が 音を捨てて傾いた
泣き虫夜空 涙ぐんだ
月夜に聞かせるの 誰も知らない歌
灰色劇場 窓辺のオリオンと


何度だって聞こえる 一人きりの拙い声
錆び付いた楽器が 海原で幻想を奏でてた
夢の中覚えた 音色たちをただ集めて
芽吹くように紡いだ
星巡りの歌が届かない


ほら 歌ってたって 泣いた ひとり
浮かんで舞った音楽祭
君は聞こえる? ロミア ロミア
何年経って逢えた音に
魔法みたいな恋をしたり
気が付かないように


言葉を飲み干した 退屈な国の人が
失くしたモノを探してた
鏡を塞いでた 溶けたアンティークな日々
火星の廃墟 真昼のカシオペア


何度だって聞こえる 忘れていた音の雨に
絵に描いた骸骨は 孤独な想像を埋めるようで
遠くなって溺れて 霞む空は知らないまま
降りそそぐ世界へ連れて行って


ねえ 潤んで咲いた遠い国に
馳せる思い くすんだ瞳
星に願いを ロミア ロミア
門をくぐって霧を抜けて
奪い去ったって会いに行こう
囁きを頼りに


歩く街並み 硝子瓶の冬
何処かの映画のようね
細く長い線路の上でさ
私に色を付けて


触れてすぐ剥がれてしまう
儚く静かな朝に
見つけた音の欠片


ほら 歌ってたって 泣いた ひとり
浮かんで舞った音楽祭
君は聞こえる? ロミア ロミア
何年経って逢えた音に
魔法みたいな恋をしたり
眠るように冷める前に


目を閉じて手をあてて
奥底の鼓動を聞いた
途切れない旋律を
名もなき君へと

第9回しほはるワンドロワンライ/コネクトライブ・バトンを渡して

司冬ワンライ・夜ふかし/寝不足

「…ふあ……」
暖かな陽気に司は大きな欠伸をする。
昨日うっかり夜ふかししてしまって少し寝不足なのだ。
眠気の要因は昼食が終わったから、というのもある。
昼休み、昼食前は体育だったこともあり、欠伸が出るのも仕方の無いことだった。
「…少し寝るか……」
小さく呟き、司はスマホでアラームを設置してからごろりとベンチに寝転んだ。
多少行儀も悪いが致し方がない。 
眠気には勝てないのだ。
「…む?」
ぼんやりと行き交う人々を見ていると一人の人物が目に入った。
「…冬弥!」
身体を起こし、司は手を振る。
冬弥も気が付いたのか、驚いたようにこちらを見た。
司の元にやってきた目には涙が浮かんでいる。
それを見た司はニヤリと笑った。
「…冬弥も欠伸をするのだな」
「…やはり見られていましたか」
冬弥が恥ずかしそうに言う。
実は見つけた冬弥は口元を手で押さえていたのだ。
いつもよりぼんやりしていたから、恐らく眠いのだろう。
何だか悪いことをしたな、と思った。
…彼が寝不足なのは司のせいなのだから。
「すまんなぁ、オレのせいで夜ふかしをさせてしまって」
「いえ。俺もとても…良かったので」
少しはにかんで冬弥が答える。
そうか、と司は笑った。
「冬弥、良ければ一緒に昼寝をしないか?」
「え?」
「寝不足だと午後からのコストパフォーマンスにも関わるだろう」
「…なるほど。しかし、狭くありませんか?」
「オレは構わんぞ!」
「…わ」
首を傾げる冬弥の手を引き、腕の中におさめる。
そのままごろりと横になった。
途端に眠気が襲ってきてうとうとと微睡む。
春の陽気と冬弥の体温の心地良さに司は目を閉じた。


夜ふかしした次の日の、特別な時間


(たまには寝不足も良いかもしれないね?)



「…司センパイと…冬弥?あんなトコで何やってんだ?」
「ああ。司くんが青柳くんから借りた小説を読み終わって感想合戦で夜ふかししたと言っていたから…睡眠を取り返しているのかもしれないねぇ」

司冬ワンライ/春の祝賀・ピュアハート

今日はイースターなのだという。
あまり日本では馴染みがないが…フェニックスワンダーランドでは大切な行事の一つとなっていた。
「…8,9,10っと…。うむ、全て集めてきてくれて感謝するぞ!これはお礼の品だ」
「わぁ、うさぎのお兄ちゃんありがとう!」
少年からイースターエッグを預かり、代わりにチョコレートエッグを差し出す。
きらきらと目を輝かせた少年が笑顔で言った。
「こちらこそありがとう、少年よ!この後も心ゆくまでイースターショーを楽しんでくれ!」
手を振りながら言う司に少年も嬉しそうに駆け出す。
やはり笑顔は良いものだ。
…と。
「…司先輩」
「…む?」
聞き慣れた愛しい声に振り向けば冬弥がイースターエッグを持って立っていた。
…何故だかうさ耳を付けて。
「とっ、冬弥?!」
「はい…えっと…やはり変でしょうか…?」
目を丸くする司に冬弥が困ったように言う。
まさか、とぶんぶんと首を振った。
「とてもよく似合っている!…だが、何故そのような格好を?」
「神代先輩が教えて下さったんです、イースターの正式な格好なのだと」
「るっ、類のやつ…っ!」
あっさりした回答に司は思わず拳を握る。
あまり冬弥に適当なことを吹き込まないでほしかった。
可愛くて愛しい冬弥はピュアハートの持ち主なのだから。
「…それと…」
む?
おずおずと話しづらそうに口を開いた冬弥に司は首を傾げる。 
まだ何か言われたのだろうか?
「それと、どうかしたのか?」
「いえ。…司先輩が、喜んでくださると聞いたものですから」
少しはにかんで冬弥が言った。
こちらが恥ずかしくなってしまうような言葉を。
「…司、先輩?」
「…。…そうだな、たしかに嬉しい。…だが、あまり可愛い事を言わないでくれ」
「え?」 
きょとんとする冬弥を引き寄せ、耳に囁く。
イースターバニーが狼になってしまったらどうする、と。
冬弥の耳が桜の色に染まる。
髪と同色のうさぎ耳が風に揺れた。

今日は大切な春の祝賀。


春の訪れを祝うイースター。


(イースターバニーがどうなったか、なんて野暮な話でしょう!)



「ほら、あのニ人なら大丈夫だったろう?レン君」
『大丈夫だったけど…うーん、一応謝った方が良いと思う…。類くん、司くんに怒られちゃうと思うなぁ……』

司冬ワンライ・嘘が吐けない/プロポーズ

さて、今日はエイプリルフールである。
「…むむ……」
司はといえば、スマートフォンを前に眉を寄せ悩んでいた。
仮にも笑顔を重んじるスターが嘘を吐いても良いものだろうか。
笑顔になれる嘘ならば、とは思うが騙すという行為自体に罪悪感があった。
「…。…やめるか…」
はぁ、と息を吐き出し、司は背伸びをする。
無理に嘘を吐く必要もあるまい。
…と。
「?…冬弥?」
スマートフォンが恋人からの電話だと音を立てた。
「…もしもし?冬弥か?」
『司先輩!…今、大丈夫でしょうか?』
「ああ。問題ないぞ!」
冬弥からの電話に声を弾ませる。
すると彼は少し沈黙してから、こう告げた。
『…あの、シブヤ公園に来ていただけないでしょうか…?』 



「待たせたな、冬弥!」
「…いえ」
待ち合わせ場所に行くと何故だか冬弥は緊張しているように見えた。
それにいつもよりきっちりした服装である気がする。
何かあったろうか、と思うがそれについて聞く前に冬弥がバラの花束を差し出した。
8本の赤いバラの中に白いバラが1輪。
これは…エイプリルフールなのだろうか?
しかし何の嘘なのかが分からなかった。
「んんん?」
「…あのっ、俺からの気持ちです!」
「ありがとう、冬弥!しかし何故…?」
バラを受け取り首を傾げる司に冬弥はえ、という顔をしてみせる。
何やら少し寂しげにも見えた。
「冬弥?」
「…いえ、やはり俺達には早すぎますよね…」
「よーし、何か勘違いをしているようだ!」
しゅんとする冬弥をベンチに座らせる。
すると冬弥が徐に口を開いた。
「…暁山から、今日はプロポーズの日だと教わったんです」
「…ほう?」
「俺は、学生のうちからプロポーズは早いと言ったんですが、プロポーズの日はそう、何度もある訳ではない、と……」
「…あー…なるほど、な」
くすくすと司は笑う。
やはり冬弥も嘘を吐けないようだ。
何だかそれに安心してしまう。
「…司先輩?」
「いや、すまん。プロポーズの日は6月の第1日曜日だぞ?」
「そ、そうなんですか?」
「ああ。それに、だ」
驚く冬弥に司はそっと囁いた。
今日はエイプリルフールだ、と。
「…?!」
「まあ、なんだ。冬弥のまっすぐな気持ちは伝わったぞ?…だから」
小さく笑い、頬を赤らめる冬弥に口付ける。
彼に告げるは嘘なんかじゃない、愛の言葉。
「今度はオレから、プロポーズの日にプロポーズをさせてはくれんか?」



今日はエイプリルフール。


嘘が吐けない二人には、関係のない日!!


「ごめんねー?まさかほっんとうに信じちゃうとは思わなくて!」
「別に構わんぞ!!可愛らしい冬弥も見れたことだし、な」